(あー、誰かくすぐりてぇ)
 太郎はムラムラしていた。
 夜七時過ぎ。
 すでに日は落ちていた。
 コンビニへ行った帰りに、中学生ぐらいの女の子がひとり歩いているのを見つけた。
 くりっとした目に、ミディアムロングの髪の毛。身長は低く、華奢な体つき。紺色の長袖のセーラー服の胸には大きなリボンがついている。
 おそらく部活帰りだろう。
(もうあの子でいいや)
 太郎は息を殺して女の子に近づいた。
 背後からそっと忍び寄り……、
「きゃっ!? ――むぐっ」
 女の子の口を押さえて林の中に引き込んだ。


「へぇ、遠藤(えんどう)さんって言うんだ」
 名札を見て、太郎は言った。
「……ひっく、えぐっ……お家、帰してぇ……」
 遠藤さんは泣いていた。
 両手は後ろ手に、両足も揃えて縛られて、地面に横たえられている。
「そんなに泣くなよぉ。ちょっと付き合ってもらったら帰してあげるからね」
 太郎は優しく笑いかけ、遠藤さんの足から運動靴を脱がした。
 白いクルーソックスを履いた足の裏は、茶色く汚れていた。
 太郎はその汚れをなぞるように、人差し指を這わせた。

「きゃっ!? やっ……ひゃっ!!」

 遠藤さんは、びくっと身体を震わせ、戸惑ったように高い悲鳴を上げた。
「ほらほら。泣いてたらせっかくの可愛い顔が台無しだよ。笑ってごらん」
 太郎は、こちょこちょと遠藤さんの足の裏をくすぐる。

「ひゃっ……ははっ、……ふふっ、ひひひひ」

 遠藤さんはくねくねと足をよじり、笑いをこらえるように歯を食いしばっていた。
「堪えるねぇ? いつまで我慢できるかなぁ?」
 太郎はいじわるく笑いながら、人差し指を上下に往復させた。

「ひっ、ひぃぃ~~っ!! ふひぃっ、ひっひ、……ひひひ」

 遠藤さんはぎゅっと目をつぶって悶えている。
 口角は上がり、笑い声も漏れている。
「強情な子だなぁ」
 太郎は、遠藤さんの両足を抱え、自分の膝の上にのせた。
 両足のソックスを脱がし取ると、遠藤さんの足は指をくねらせながら嫌々するようによじれた。
「えろいねぇ」
 太郎は遠藤さんの素足の足の裏に爪を立ててひっかいた。

「きゃはっ!!! やめっ……あはっ、はひひっははははははははははははは!!!」

 遠藤さんは一瞬くしゃっと顔をゆがめた直後、ぶはっと口を開けて笑い始めた。

「やめてっやぁぁ~っはっはっはっはっはっはっはっはっは!!」

 遠藤さんは上半身を左右によじって笑う。
 太郎は、そんな彼女の両足の裏をガリガリと掻きむしる。

「きゃあぁあ~~っははははははははははは!!! ふひひひひひひひひひひひひ嫌あぁぁははははははははは!!!」

 面識もない、何者かも分からない男にくすぐられ、大笑いする遠藤さん。
「遠藤さん。笑った顔、可愛いじゃないか」 

「なんでっひゃっはっはっは、なんでこんなことするのぉぉ~~っひひひひひひひひひひひ!!!」

 涙を流して笑いながら、遠藤さんは叫ぶ。
「君にはまだわからない大人の事情があるんだよ」
 太郎は、遠藤さんの足の小指と薬指の間をカリカリとひっかきながら言った。

「うひひひひひひひひひひっ!!? そこやぁあぁははっはっはっははっはっはっはは!!」


 三十分ほどくすぐり続け、太郎は飽きた。
 やめても遠藤さんの引き笑いは止まらなかった。

「うひひっ……ひひひぃ」

 とりあえず手足の拘束は解いてやって、ソックスは手土産に持って帰った。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 深夜にムラムラして書きました。まったく反省はしていません。