「船がいるわね」
 鬼ヶ島を目指す桃子は、船の必要性に気づきました。
「それでしたら」
 と、犬山が提案します。
「私の元ご主人様のご友人で自船をお持ちの上流武家を知っております。そちらのお嬢様を桃子様の下僕にするのはいかがでしょう」
「なんでもいいわ。船が使えるなら。猿川!」
「はっ」
 桃子が呼ぶと、すぐにくノ一猿川が出現しました。
「犬山と一緒に、その上流武家の娘とやらを捕らえてきなさい」
「承知しました」

 その娘は『雉谷』という名を持っておりました。
 犬山の機転と猿川の忍術を駆使して、なんとか雉谷を拉致監禁することに成功しました。

「無礼者! おぬしらっ! 妾を何と心得る!?」

 上流階級らしい綺麗な打掛姿の雉谷は柱に背中をつけてぺたんと尻餅をついた状態で縛り付けられておりました。
 打掛の中には白い間着がのぞき、足下は裾に隠れて見えません。

「犬山、団子は?」
「こちらに」
 犬山はティコ団子を桃子に手渡しました。
 雉谷は警戒心が強く、小間使いや忍者が差し出したティコ団子を口に入れようとしなかったのです。
 ティコ団子を食べさせなければ、桃子は雉谷を洗脳することができません。
「雉谷、口を開けなさい」
「気安く呼び捨てにするでない! おぬし、ただではすまさんぞ!」
 雉谷はものすごく怒っています。
「んーっ!」
 雉谷は、桃子がティコ団子を近づけるのを、口をむんずと閉じて抵抗します。

「しょうがないわね。犬山、猿川、やりなさい」
 桃子の指示で、犬山と猿川が雉谷の足下へ駆け寄ります。
「ん~~っ、んっ!? んーーっ」
 雉谷は抵抗します。
 二人が裾の中にてをつっこみ、足首を掴んでくるのです。
 膝を曲げたり、蹴ったりして暴れますが、結局二人がかりではどうしようもできず、両足とも引っ張り出されてしまいます。
 犬山と猿川は、雉谷の右足と左足をそれぞれ抱えて持ち、足袋を脱がし取りました。
 雉谷の素足は、驚くほど真っ白でした。
 そこへ、二人はそっと指を這わせます。

「っ!!! んふぅぅーーっ!!?」

 雉谷の足の指が、ぴんと反り返りました。
 目を見開いた雉谷は、桃子をにらみつけます。

「さあ、雉谷! 口を開けなさい!」

 雉谷はぶんぶんと首を左右に振りました。

「んふっ、ふっ……んぅぅぅぅ~~!!!」

 犬山と猿川はちょこちょこと雉谷の素足の足の裏をくすぐっています。
 雉谷は顔を真っ赤にして、笑い出すのをこらえているようでした。
 はじめは怒りの形相だった雉谷の表情は、徐々に緩んでいきます。

「んふっ、んふぅぅ~~っ、ふひっ、んんんん~~~~!!!」

 口角がヒクヒクと上がり、眉が困ったように下がっていきます。

「犬山! 猿川! いつまでもじらしてないで、本気でやりなさい!」

「――っ!!!?」

 桃子の合図で、突然二人のくすぐりが強くなりました。
 雉谷の柔らかい足の裏に、二人の指が食い込みます。
 
「――ぶはっ!!!」

 雉谷が吹き出した瞬間を見計らって、桃子はティコ団子を雉谷の口に押し込みました。

「んがっ!!? もがっ」

 口を押さえつけられたまま両足の裏をくすぐられ、雉谷はじたばたと体をくねらせます。

「ふごっごごごごご!!! んぐぅぅ~~」

「飲み込んだわね? 犬山、猿川、いったんやめなさい」
 桃子の合図で二人は手を止めます。
 桃子が雉谷の口から手を離すと、雉谷は大きく咳き込みました。
「げほっ、……なっ、なんのつもりじゃっ!!! わらっ、妾をっ……こんなまねをしてっ……!」
 雉谷は息を切らして怒鳴ります。

「ふふ。雉谷、あなたはもう私の家来よ」

「はっ……な、っ!? 何を言って――」

 桃子の目配せで、犬山と猿川が雉谷の素足の足の裏をガリガリと激しく掻きむしり始めました。

「――ぶひゃっっ!? えひゃはははははははっ!!!? なにゃっ、なんにゃぁああぁはっははははひゃはははははははは!!?」

「さあ雉谷、私と一緒に鬼退治に来るのよ」

「なひゃひゃはははははははっ、なんで妾がぁぁぁっひゃっひゃっひゃっひゃひゃ!!! やめるのにゃぁぁあっはっはっはっはっはっはっは!!!」

 雉谷は激しく体をよじって笑い、涙を流して訴えます。
 桃子はそんな雉谷に向かい、
「ふうん。じゃあ自分から懇願したくなるようにしてあげるわ」
 打掛の腋の下に手を差し込んで震わせます。

「えひゃひゃひゃひゃひゃっ!!? えひぃぃ~~っひぃぃっひぃひぃひぃ!!! やめりょぉぉ~~くしゅぐるにゃぁぁぁあ~~っひゃっひゃっひゃっははっはっはっはは!!!」

 雉谷は三人がかりで足の裏、腋の下をくすぐられ、泣き叫びます。
 綺麗な打掛も、端整な顔立ちも台無しです。

「えひぃぃっひぃひっひぃっひぃあひゃぁあぁああはははっはははっは!!!」

 犬山は雉谷の足の指の付け根をこそぐように、猿川は爪の先で雉谷の土踏まずを弾くようにくすぐっています。

「ふごぉぉぉあはははははははははぎゃぁぁあぁぁっはっはっはっはひゃひぃぃ~~!!!」

 桃子が雉谷の腋の下で指をぐりぐりと突き立てると、雉谷の体はびくびくと痙攣しました。

「そろそろね」

「いやでゃぁぁぁっひゃひゃひゃひゃひゃっ!! ふぎゃぁぁああひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」

 雉谷は白目をむき始めます。
 目には涙が溢れています。

「家来になりたくなってきたんでしょ?」

「ぐえぇぇぇ~~っひぇっひぇっひぇっひぇ嫌あぁぁぁっはっはっはっはっはっはむでぃぃぃ~~っひっひっひっひっひ無理無理ぃぃぃ~~ひゅぃいっひっひっひっひひ!!!」

 雉谷の口からは涎がだらしなく垂れ流れています。
 びくびくと体を震わせて泣き叫ぶ雉谷は、ひときわ大きな絶叫を上げたかと思うと、股間がじわりと湿っていきました。

「ふぎゃぁぁぁあひゃっひひひひひっひひひひひひっ!!! 出たあぁぁぁ~~!! 出たぁぁぁあぁ、うへへへへへへへへへへへへへ~~!!?」

 雉谷は舌を出して馬鹿笑いしています。
 まるで喜んでいるようでした。

「雉谷、自分の口でちゃんとお願いしてみなさい?」

 桃子が聞くと、雉谷は体を大きくのけぞらせさらに激しく失禁し、叫びます。

「えぎゃひゅひひひひひひひっ、妾はぁぁあぁひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!! ももごじゃまのげらいでしゅぅぅぅぅうひゅひひひひひひひひひひひひひ!!!」

「そう、良い子ね」
 桃子は言うと、二人に目配せして、さらに激しく、雉谷の体をくすぐりました。
 雉谷は甲高い笑い声を上げながら、気絶してしまいました。

 こうして桃子は、三人の従順な家来を手に入れることができました。
 桃子ははたして鬼を退治することができるのでしょうか?
 途中で投げ出さずにできるでしょうか?
 それはまた、別のお話。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 時代考証とかかなりいい加減です。
 打掛姿の子って一回くすぐってみたかった!
 これにて完結。読了ありがとうございました。