「姉貴……理穂ちゃんきたよ」
「よしきた!」
 休日、妹は約束通り理穂ちゃんを家に連れてきた。
 やはり妹は可愛い。
 私が妹の部屋に入ると、理穂ちゃんは台テーブルの向かって、クッションの上に正座していた。テーブルの上にはもう教科書やノートが広げられている。本当に真面目な子のようだ。
「あ、お、お邪魔してます!」
 理穂ちゃんは私に気付くと慌てたように立ち上がって、ぺこっとお辞儀をした。
 実に礼儀正しい良い子じゃないか。
 午前中に吹奏楽部の練習があったらしく、制服姿だ。
「やあやあ理穂ちゃん、よくきたね。まま、座りなさい」
「あ、はい……」
 理穂ちゃんは丁寧にスカートの裾を整えながら正座した。
 私はその横にぴったりと密着するようにあぐらを掻いた。
「あ、あの……お姉さん? ちょっと、近いですけど……」
 理穂ちゃんは訝しげに眉をひそめた。
 そんな理穂ちゃんの両脇腹へ、両側からやさしく囲うように両手を当てた。

「きゃっ!」

 理穂ちゃんの体がびくっと震えた。
 密着しているため、その緊張が伝わってくる。

「おっ……お姉さん、やっ……ちょっと、くすぐったいです」

 理穂ちゃんは顔を赤らめながら、膝をこすり合わせていた。
 欲しい反応がすぐもらえて嬉しい限りだ。

「そうかそうか、くすぐったいかー、はっはっは」

 指をわずかに動かしてみて、感触を確かめる。

「あはっ!? やっ……お、ひゃっ、やん」

 理穂ちゃんはくねくねと体をよじってもがいた。
 とても良い感度だ。

「ほほぅ、ここがいいのかい? それともこっちか?」

「あっ、ふあっ!! ちょ、やっ、やだぁっ、やはぁんっ!」

 脇腹、腋、背中へと指を這わせていく。
 すると理穂ちゃんは、顔を真っ赤にして悶えた。 

「やっ、あははっ、やめっ、たすけてっ」

 理穂ちゃんは身をよじって妹に助けを求める。妹には予め邪魔をしないように言いつけてあるので問題ない。
 そろそろほぐれてきた頃だろう。
 私は理穂ちゃんのアバラへくりっと指を立て、こりこりと本格的にくすぐり始めた。

「やっ――!!? あ、あああああああああ~~っ!?」

 理穂ちゃんは目を見開いて悲鳴を上げた。
 びくんと体がのけぞり、後ろへ倒れる。
 私は両手で追いかけるように、理穂ちゃんの体側をくすぐり続けた。

「はひゃはははははははははははっ!!!! あぁああ~~っはっはっはっはっはっはっはっはやめてぇえぇえぇ~~!!! やめてくださいぃぃ~~!!」

 理穂ちゃんはじたばたと両手両足を動かして暴れている。
 机を蹴っ飛ばしてしまい、せっかく準備した教科書やノートが床に散らばった。
 そんなことも気にする余裕もなくバカ笑いする理穂ちゃん。

「ああははははははははおねっ!! おねえさんあぁぁあひゃははははは! ひひひひ、なんなんですかぁぁぁ~~あはやははははははは!!?」

 やっぱりおとなしい子が大笑いする姿はたまんないなぁ。
 私はしみじみと思い、理穂ちゃんの両足を掴んで引き寄せ、四の字固めにした。

 そのまま、こちょこちょと理穂ちゃんのソックスの足の裏をくすぐった。

「うひゃぁあああっはっはっははっははは!!? ちょあぁあああああ動けないぃぃっひひっひひっひっひ、お姉さんやめてえぇぇええっはっははっはっはっははっはっは!!」

 理穂ちゃんは必死に私の体を引きはがそうと両手を伸ばす。
 届かない。
 体格差があるのだ。
 だから年下の子をくすぐるのはやめられない。

「理穂ちゃん足の裏弱いのか。なら、もう少し開発してあげよう」

 理穂ちゃんの両足からソックスを脱がし取り、素足にした足の裏をがりがりと勢いよくくすぐってあげる。

「あがぁああああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!? あぁあぁあああそこはだめぇええええええ~~いひひひひひひひひひひいひひひっ!!!!」

 おーおー効いてる効いてる。
 理穂ちゃんは一層甲高い笑い声を上げて、上半身をぐりんぐりん左右によじって暴れた。
 そうそう、普段おとなしい子って案外こういう部位が異常に弱かったりするからね。

「あひゃぁああああはやははははははひはひひひひひひっ!!! いぃぃ~~っひっひっひっひっひっひっひふぎゃぁぁ!!」

 ドアの傍に立った妹の顔を見た。
 唇をかみしめて視線を横へ逸らしている。
 友達を売った罪悪感に打ちひしがれているのか。
 やはり妹は可愛い。
 以来、理穂ちゃんはなかなかうちに来てくれなくなった。
 あたりまえか。


(完)


前編 後編


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 妹の友達をくすぐりたかった。