「それ、ホント?」
 F高校2年1組の教室にて、大石香織(おおいし かおり)が声を荒らげた。
「ホントホント。間違いないよ。3組の進藤沙也佳(しんどう さやか)がコモリくんと一緒に帰っているの見たって子がいるんだから」
 答えるのは香織と同じクラスの八坂蓮華(やさか れんか)。
 香織と蓮華はともに、学年1のイケメンといわれるコモリくんの親衛隊を結成していた。
 コモリくんに近づく女子は絶対に許さない。
 そんなメンバーが20人程度。シフト交替でコモリくんを朝から晩までストーキングしているのだ。
「進藤……沙也佳……っ!」
「今月、付き合いたい女子ランク一位。かわいくて頭も良くて、人当たりも良い。悔しいけどコモリくんとお似合い?」
「絶対に許さない……!」
「おーこわいこわい」
 香織は熱狂的なコモリファンだった。
 香織と蓮華はさっそく3組の進藤沙也佳の元へ、事実確認へ向かった。

「えっ! ……付き合ってない、よ?」
 沙也佳の反応はどうも怪しい。
 小首を傾げながら、目が泳いでいた。
 しかし、何度聞いても「付き合ってない」の一点張りだった。

 放課後。
「絶対怪しい!」
「まぁまぁ、本人が付き合ってないっていってるんだし」
 香織と蓮華は、部活帰りのコモリくんをストーキングしながら話していた。
「どうやって吐かせよう……」
「吐かせてどうするの?」
「別れさせる」
「どうやって」
「わからん」
「……あ、そ」
 まったく建設的でない会話をするうちに、前方のコモリくんが自宅に到着した。
 すると、
「え!?」
「マジ!?」
 玄関から沙也佳が出てきた。私服だ。出迎えだ。
 コモリくんと沙也佳は楽しそうに何かことばを交わしている。
「……やっぱり、付き合ってんじゃん」
 コモリくんが軽く指で沙也佳をつついてじゃれる。沙也佳がくすぐったそうに身をよじってはにかむ。女性でもきゅんとなるほど笑顔が可愛らしかった。
 楽しそうなふたりの様子を眺めながら、香織は爪を噛んだ。


 学校の授業が終わり、沙也佳が帰ろうと下駄箱で靴を履き替えていると、知らない女子生徒に声を掛けられた。
「3組の進藤さんですよね。今日生徒会に提出して頂いたプリントに不備があったので、生徒会室まで一緒にきていただけますか?」
「えっ! ごめんなさい。……あの、……明日じゃダメですか?」
「すぐ終わりますので」
 沙也佳は早く帰りたかった。
 今日は彼の誕生日なのだ。帰りに食料も買って帰らないといけないし……。
「お願いします」
 強く言われると断れなかった。
 沙也佳はしぶしぶ生徒会室へ向かう。
 不備ってなんだろう……?

 沙也佳は生徒会室の前まで来たところで、突然現れた複数の女子生徒に囲まれ、無理矢理隣の空き教室に連れ込まれた。
「や、やだ! 何するんですか!?」
 女子生徒が20名ほどいた。
 沙也佳は床に押し倒され、両手両足を揃えて押さえつけられ、Iの字に体を引き伸ばされていた。
「進藤さん? コモリくんと付き合ってるんでしょ?」
「え……」
 聞き覚えのある声に顔を傾けると、昨日教室で同じ質問を投げかけてきた、大石香織と八坂蓮華の姿があった。
「大石さん? 八坂さん? いったい私になんの恨みがあって……」
 沙也佳の声が震える。
「コモリくんと付き合ってるの? 付き合ってないの? はっきりしなさい!」
「だ、だから付き合ってないっていってるじゃない!」
 しつこく聞かれ、沙也佳はつい語気を強めた。
「ずいぶん反抗的ね。じゃあ無理矢理にでも吐かせるしかないわね」
 そういって香織が沙也佳の足元にしゃがみこんだ。
 沙也佳は何をされるのかわからず不安に駆られる。
「……な、えっ!? なに!?」
 沙也佳は突然上履きを脱がされた。
 ついで、紺色のハイソックスもスルスルと脱がされていく。
「ちょ、ちょっとやめて!」
 足をよじって抵抗するが無駄だった。
 両足とも素足にされ、沙也佳は少し恥ずかしかった。
「なんでこんなこ――んぁっ!!?」
 と、突然足の裏に刺激があった。
 香織は人差し指で、くりくりと沙也佳の足の裏をくすぐっているようだった。
「やははっ……ちょっ! 大石さん!? やだっ、なにっ!? やめてひぃっ、ひ」
「コモリくんと付き合ってるんでしょ? 正直にいったらやめてあげるわよ」 
「そっ、そんな……! ひひぃぃっ!」
 だからってなんでくすぐるのか!
 沙也佳にはわけがわからなかった。
「だからぁ! あひぃ……なんどもっ! いってるのにぃ!」
「そんな態度とるなら仕方ないわね。みんなもやっちゃって」
 香織がいうと、周囲の女子たちが沙也佳に手を伸ばしてきた。
「えっ!? やっ、ちょっやめ――」
 数十本の指が一斉に沙也佳の体を襲う。
 沙也佳は耐えられなかった。
「やっ――あはははははははははははっ!!? やだぁあぁっはっはっはっはっはっは!!! やめてえええええぇぇ!! やめてったらぁあぁっはっはっはっはっは~~!!!」
 素足にされた両足の裏、脇腹、お腹、腋の下と這い回る指。
「正直にいいなさい」
「あぁぁっははっはっはっはっははやめてぇぇ~~~!!」
 沙也佳はくすぐったすぎて何も考えられなかった。
「なかなか吐かないね」
 誰かの声。
「弱点を重点的に責めればいいんじゃない」
 また誰かがいう。
「それじゃあみんな、いったんやめ!」
 香織の声で、くすぐる指が止まった。
「ひっ……ひぃ、げほっ、げほっ」
 沙也佳は激しく咳き込む。窒息するかと思った。
「進藤さん、どこが一番くすぐったいの?」
「は……、えっ……、そ、そんなの、教えられるわけ……」
 と、いいかけた矢先、突然足の裏がくすぐられた。
「やはははははははははっ!!? なぁぁぁあっはっはっはもうやだぁぁ!! やだぁぁあっはっはっははっははっは!!」
 爪でガリガリと掻きむしられるのはたまらなくくすぐったい。我慢などできなかった。
「だったら一カ所ずつ確かめるしかないわね」
 香織の声が残酷に響く。
「いやぁぁあっはっはっはっはっはっはやめてぇぇぇぇははははははははははは!!!」
「足の裏はまずまずね」
 続いて腰。腰骨をいじられ、くりくりとツボを探るようにくすぐられる。
「あはははははははははははっ!! ひぃぃっひっひっひっひっひっひあぁぁ~~!!!」
「腰も弱い。この子、全身弱いんじゃないの?」
 脇腹はさらにきつかった。
「あひゃひひひひひっひひひいあひっ! ひぃぃっひっひっひっひ!!? ひゃはははははははははははやめっそこはホントむりぃぃぃぃひひひははははははははははは~~!!!」
 指を脇腹にねじこまれ、ぐりぐりとえぐるようにくすぐられると、本気で息が止まりそうなほどくすぐったかった。
「脇腹弱いんだ。へぇ。じゃあ最後、腋の下やってみて」
「お願い! そこはダメ!」
 確かめなくても、腋の下は弱いに決まっている。
 沙也佳は必死に懇願した。
 しかし、周囲の女子たちが無慈悲に指を突き立ててきた。
「うぎゃははははははははっ!! ひえぇえ~~~ひゃっはっはっはっははっはっはっはだひゃぁぁあああ~~!!」
 沙也佳は涙を流して大笑いした。
 それから、脇腹や腋の下といった弱点は特に重点的にくすぐられた。
「やぁぁああひゃはははははははははは!!! ふげぇぇぇえひゃははははは! わがぁだあぁああああつきあっでるぅうううううう!!! 付き合ってるからゆるじでぇぇえ~~ひゃっはっはっはっはっは!!!」
 沙也佳はくすぐったさに耐えきれず、とうとういってしまった。
 しかし、くすぐる指は一向に止まらなかった。
「別れるって約束するまで許さない」
「そんなぁあぁあひゃははははははははははは!!? やう゛ぇぇでぇえぇえ~~っはっはっはっはっはっはっはっははっはっはっはぎゃぁあ~~!!!」

 その後、結局沙也佳は失神するまでくすぐられた。
 彼女と彼の本当の関係は、誰にもわからない。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 下記のリクエスト作品です。

> 【ジャンル】オリジナル
> 【くすぐられキャラ】本人に自覚がないが学年No. 1にモテる女子高生A
> だれにでも愛想が良い
> 【あらすじ】
> くすぐられ役のAがある日の学校の帰りに学年1のイケメンBと一緒に帰る姿が目撃される。
> その噂が同じ学校の女子達20人程で結成されているB君親衛隊の耳に入り、嫉妬されることに。
> どのようにAに自白、復讐するか考える女子グループは、ある日B君に軽くくすぐられて、いちゃつくAを見て猛烈な嫉妬、そしてくすぐり尋問にて問いただすことを決める。。
> まんまと親衛隊達に呼び出され徹底的にくすぐられるAだったが、もちろん簡単には自白せず、強気に反論、反発。 それに余計イラついた女子達はAの弱点である脇腹、脇の下を総攻撃し、自白させ、さらなるくすぐり拷問を浴びせることに。。
> 【足裏の他に責めて欲しい部分】わき腹、脇の下