「おいこら! 生徒会がこんなことしていいんかよ!」

 工藤千秋(くどう ちあき)は、部屋の隅に設置された防犯カメラに向かって怒鳴った。彼女は生徒会の備品を壊した罪で、空き教室に監禁されていた。
 ショートカットで小柄な体躯。常にがざごぞと動いていないと気が済まない性格で、勢い余って学校の備品を壊すことはこれまでにも多々あった。
 今回破壊したのは生徒会室前に飾ってあった生徒会長の肖像画。友人とふざけてチャンバラをやっていたところ、腕を引っかけて破ってしまったのだ。

「ごめんねー。工藤ちゃん。さすがに今回ばかりは見過ごせないのよー」
「会長は寛大であられる。その部屋から自力で脱出することができればおぬしは無罪放免されよう」
「工藤さん、がんばって!」
 生徒会役員からそんな放送があった。
「は?」
 放送が切れた直後、がらりと教室の扉が開き、四人の女子生徒達が乱入してきた。
 一様にごついからだつきで柔道着を身につけている。柔道部の面々である。

「なっ、なんだお前等!? やめろぉ!」

 いきなり柔道着の女子四人が千秋に飛びかかった。
 いくら運動神経の良い千秋でも四人がかりではどうしようもなく、あっという間に組み伏せられた。

「……っ、こら! 放せよ! 」

 千秋は床の上で仰向けに両手両足を押さえつけられ、身動きが取れない。四人に向かって罵声を浴びせた。
 すると、右腕にしがみついていた一人が口を開く。
「あんた放送聞いたんだろう? 自力で脱出できたら無罪放免だって。あたしらはあんたを1時間足止めできたら活動補助費アップって言われてんだ」
「知るかそんなの! 放せバカ!」
 千秋は声を荒らげ、両手足に力を入れた。
「うわ。この子全然反省してないね。……それにしてもすごい力。元気があり余ってるのね。ちょいと弱らせないと、1時間持たないかも。やるか」
 柔道部員のひとりがいうと、他の三名も顔を見合わせ頷き合った。

「えっ?」

 四人のアイコンタクトに、千秋は不安になる。
 と、次の瞬間――

 こちょこちょこちょこちょ。

「うぃっ!!? ――いひゃははははははははははははは!!? なっ、なにすんだぁぁぁ~~っはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

 四人は押さえつけた千秋のからだをくすぐりはじめたのだ。
 千秋はガラ空きの腋、脇腹をくすぐられ、たまらず笑い声を上げる。

「やぁぁっはっはっはっはっはっはっは!! くすぐったいぃぃ~~!! くすぐりはだめぇぇあぁぁぁっはっはっはっはっははっはっはっは!!」

 千秋は身体中に力を入れて逃れようとする。
 が、柔道部員達はさすが日頃からの寝技の鍛錬が生きている。びくともしない。

「やっぱり若い子にはくすぐりが一番だね。くすぐられると走るのと同じくらい体力を消耗するんだよ? ほらほら。抜け出せるもんなら抜け出してみな」

「いやはははははははははっ!! 年齢そんなっ、変わんないじゃんかぁぁっはっはっはっはっはっはっは~~!!」

 柔道部員の挑発に、千秋は顔を真っ赤にした。
 いくら力を入れても、四人を退かすことはできない。

「おねがっ……ひぃぃ~~っひっひっひひ、死んじゃうっ! あははははははははははははははははは!!!」

 数分ほどくすぐられたところで、すでに千秋は体力の限界を感じていた。
 身体中から噴き出した汗が制服にまとわりつき、開きっぱなしの口からは涎が垂れ流れた。

「ほらほら。早く脱出しないと、いつまでも罰は終わらないよー」

「あはっはっはっはっは!! こんなのっ! こんなのむりぃぃぃ~~あははっはっははははっはっははっはっはっはっは~~!!」

 千秋に勝機が訪れたのは、1時間まであと少しという頃だった。
 体力的にきついのは柔道部も同じ。
 一瞬だったが、足を押さえていた部員の力が緩んだのだ。

 千秋の瞬発力が勝った。

「やはははは――……、このっ!!!」

 千秋は一気に力を込め、足の柔道部員をはねのけ飛び起きた。

「うわっ、し、しまった!?」
 とっさのことで前につんのめって転ぶ四人の柔道部員。

「ひぃ……、へ、へへっ! ざまーみろ! 活動費なんか部費で賄え、ばーか!」

 千秋が言い捨てて教室を出ようとしたそのとき、目の前の扉が開いた。
 外から開けられたのだ。
 千秋は突然のことで止まれず、扉を開けた人物にぶつかり、教室の中へ跳ね返された。

 扉を開けたのは、シングレットを着たがっちりとした体格の女子生徒だった。レスリング部だ。
「あんたが工藤さんかい? なるほど。やんちゃそうだ」
 彼女に続いて、さらに三人、レスリング部の女子生徒が入ってきた。
「な、ど、どけよ、お前等!」
「そうはいかねぇ。あたいらもそこの柔道部と一緒で、1時間あんたを足止めしたら活動費アップって言われてんだい」
「なっ……! そんな……」

 千秋はレスリング部の四人にタックルされ、あっという間にねじ伏せられてしまった。
 足にしがみついた部員が千秋の上履きを脱がし、ついでソックスも脱がし取った。

「ちょっ……やだ」

「なんだい! 足癖の悪い子だねぇ! そんな悪い子はこうだよ」

 千秋の素足が、二人がかりでくすぐられる。

「いひゃはははははははははっ!!! やだぁっ!! くすぐりはもうやめてぇぇえええあ~~はっはっはっはっはっはっは!!」

 膝から足首までをがっちりとホールドされている。
 辛うじて動かせる足首から先をくねらせてバカ笑いする千秋。

「ほうら。抜け出してごらん。上手く抜け出せたら無罪放免だってさ」

 両腕を引っ張り伸ばされ、ガラ空きになった腋の下と脇腹も揉みくすぐられる。

「ぐやははははははははっ!! 無理無理っ、動けないっ、動けないからぁぁぁあはははははははははははははは!!!」

 柔道部にくすぐられた余韻も冷めないまま、レスリング部にくすぐられ、千秋は発狂しそうだった。

「あぁぁぁ~~~はははははははっ!! ごめんなさいぃぃ~~!! 謝るからあぁぁあぁっはっはっはっは!! もうしないぃぃっひっひっひっひ~~、学校のモノ壊さないからぁぁあははははははは!!!」

 千秋は全身をくすぐられ、泣き叫び続けた。

 さらに1時間経って開放された頃には、全身汗びっしょりで、自力で立ち上がることすらできなくなっていた。

「……うふひぃ……ひひひぃいぃ、ごめん……なしゃいぃ……」

 顔は涙と涎、鼻水でぐしゃぐしゃで、可愛らしい顔も台無しだ。
 仕事を終えたレスリング部の面々はやれやれと肩を落とした。
「ちょっとやりすぎちゃったかねぇ。おや、次の部がまだ来てないね。あんた、寝てないで今のうちに部屋から脱出した方が良いんじゃない?」
「……えっ、……次の部って?」
 千秋は耳を疑った。
「聞いてなかったかい? 会長はうちら体育会系の部活全部にあんたの足止めを依頼しているのさ。この後はたしか女子プロレス部……今までよりもっときつくなるはずだから、体力の余っているうちに脱出しないと、あんた、死んじゃうよ?」
「む、む、無理ぃぃっ!! もうあたし、へとへとで……」

 千秋が必死に上体を起こすと、廊下から足音が聞こえてきた。
 どすん。どすん。
 まるで魔物だ。

「ほら、ぐずぐずしてるから」

「い、い……ぁぁ――!!!」

 ゆっくりと開かれる扉を前に、千秋は絶叫した。


(完)


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 下記のリクエスト作品です。
 遅くなってしまい申し訳アルマジロ。その他もろもろアルマジロ。

> 【ジャンル】オリジナル
> 【くすぐられキャラ】
> 千秋:黒髪ショートの、勝気な女子高生(1年)
> 【あらすじ】
> 千秋は、生徒会の備品を壊してしまい、罰を受けることになった。執行者は女子柔道部と女子レスリング部の上級生。内容はくすぐり脱出ゲーム。部員たちに寝技やプロレス技などをかけられ、腋や足などの弱点をガードできない状態で複数の部員にくすぐられ、自力で脱出して、部屋の外に出るまで続けられる。
>
> 【足裏の他に責めて欲しい部位】
> 腋の下