まゆが飲み物を買って中庭に戻ってくると、そこに、泉の姿はなかった。
ベンチの上に食べかけの総菜パンが置かれている。
トイレにでも行ったのだろうと、まゆはベンチに腰掛け、自分の弁当を取り出した。
ふと、ベンチの上に置きっ放しになった便せんが目に入った。
「不用心……」
他人のプライバシーをこんな形で放置するなんてと、泉に対して軽く憤りを覚える。
便せんを手に取った。
折りたたみ、封筒にしまい直そうとして、手が止まった。
まゆは目を上げ、周囲に視線がないことを確認した。
(……誰も見てない)
突然まゆの中にわき上がった好奇心。
まゆは、首を左右に振った。
(だめだめ。他人のラブレター盗み見るなんて、趣味悪い)
まゆは心の中で言い聞かせ、便せんを封筒にしまい、丁寧にベンチの上に置いた。
弁当を膝に置き、箸を構えた。
「…………」
まゆは少し考えて、弁当と箸を元の位置に置き直した。
泉がトイレから帰ってくるまで、待っていようと思った。
待ち時間は手持ちぶさたで、とてつもなく、長く感じられた。
♯1 ♯2 ♯3 ♯4 ♯5 ♯6 ♯7 ♯8 ♯9
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)
こんばんは。ertです。
晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
こういう子のちょっとした葛藤ってフェチ心をくすぐりませんか?
ベンチの上に食べかけの総菜パンが置かれている。
トイレにでも行ったのだろうと、まゆはベンチに腰掛け、自分の弁当を取り出した。
ふと、ベンチの上に置きっ放しになった便せんが目に入った。
「不用心……」
他人のプライバシーをこんな形で放置するなんてと、泉に対して軽く憤りを覚える。
便せんを手に取った。
折りたたみ、封筒にしまい直そうとして、手が止まった。
まゆは目を上げ、周囲に視線がないことを確認した。
(……誰も見てない)
突然まゆの中にわき上がった好奇心。
まゆは、首を左右に振った。
(だめだめ。他人のラブレター盗み見るなんて、趣味悪い)
まゆは心の中で言い聞かせ、便せんを封筒にしまい、丁寧にベンチの上に置いた。
弁当を膝に置き、箸を構えた。
「…………」
まゆは少し考えて、弁当と箸を元の位置に置き直した。
泉がトイレから帰ってくるまで、待っていようと思った。
待ち時間は手持ちぶさたで、とてつもなく、長く感じられた。
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(ここから作者コメント)
こんばんは。ertです。
晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
こういう子のちょっとした葛藤ってフェチ心をくすぐりませんか?