「きゃ!?」
 まゆは突然のことに軽く悲鳴を上げた。
 中庭にいたはずの自分の体が、いつの間にか、夕暮れの教室の中に移動したのだ。
 座っていたベンチが突然消えたために、尻餅をついてしまった。
 まゆは両手のひらをまじまじと見つめた。
 たった今まで持っていたラブレターが消えている。
 結局まゆは、好奇心に勝てず、封筒から便せんを取り出し中身を読んでしまったのだ。
「……ここ、どこ?」
 まゆは声に出してつぶやいてみると、余計に心細くなって、スカートの裾を握りしめた。
 ふと、視線を上げた先に、灰色のサマーベストを着たセミロングヘアの少女が後ろ向きに立っていた。窓の外を眺めている。
 まゆは、ギョッとした。
 唐突に出現したように感じられた。
「だ、……だれ、ですか?」
 少女はゆっくりとまゆの方へ振り向いた。
「……っ!!!!」
 まゆは、全身に鳥肌が立つのがわかった。
 顔のない少女と目が合った。
 少女が一歩、まゆの方へ足を踏み出した。
 まゆは恐怖のあまり立ち上がることができず、地面を蹴って、後ずさりした。
 扉まで数メートル。
 まゆが扉の方向を確認してから振り返ると、少女が二人に増えていた。
「ひ……っ」
 まゆは悲鳴を漏らし、匍匐前進をするように扉に向かって這った。
 後ろを振り返る。
 少女は六人になっていた。
 まゆはぶるぶると首を振り、なんとか扉にたどりついた。
 しかし、
「え……っ」
 まゆは絶望にうちひしがれた。
 その扉には取っ手がなかった。
 次の瞬間、足首をつかまれる感触がして、まゆは声にならない悲鳴を上げた。

 まゆは幼少の頃から足腰が弱かった。
 小学校、中学校と、体育はほとんど見学で、ろくに走ったこともなかった。
 人生の中で足を使うことが、人よりも少なかった。
 だからかもしれない。
 靴と靴下を脱がされ、貧弱な足の裏をべろべろとなめ回される感覚は、とてつもなく新鮮で、尋常じゃないほどくすぐったかった。
「ふひゃははははははははははははっ!!!? にゃああぁぁぁっはっはっはっはっはっはは~~!!!」
 まゆはロングヘアを振り乱して大笑いしていた。
 両腕を体側に付けた仰向けの状態で、二人の少女に床に押さえつけられ、片足二人ずつ四人の少女に足を掴まれている。
 前方に突き出すように抱き上げられた足の裏。
 足首を持った少女が舌でまゆの素足をなめ回す。
「いにゃははははははははははっ!!! やだぁあはははははははは、ひにゃぁあぁぁっはっはっはっはっはっは!!!」
 くねくねと動くまゆの足の指。
 膝を抱え込んだ少女が、片手でぐっとまゆの足の指を握り、後へ反らせる。
「んぅぅぅううひひひひひひひひひひひっ!!!? 無理無理無理ぃぃひひひひひひっ!!!」
 反り返った足の裏をれろれろとなめられ、まゆは歯ぐきをむき出しにして笑う。
 もう片方の足では、少女がまゆの足の指をしゃぶり上げ、舌先で指の間をちろちろとくすぐっていた。
「いふぅぅ~~ひゃひゃひゃあははあっは、うにゃあぁぁあぁっははっはははははひはひあひあひあひひひひ!!!」
 まゆの足の裏は、少女のよだれが糸を引いていた。
 足の裏から送られてくる刺激に、まゆは頭の中がちかちかとショートするような感覚に襲われる。
 開きっぱなしの口からは涎がだらだらと溢れだし、見開かれた大きな目からはとめどなく涙が流れた。
「あがぁぁあぁひゃぁあっぁあ~~はあひあひあひははひはひはひはひはひひひひひひひぃぃ~~!!!!?」
 顔を真っ赤にして笑い続けたまゆは、びくびくと海老反りになるように体を痙攣させ、失禁した。
 少女は構わず、まゆの足をれろれろなめ続ける。
 まゆは白目をむき、舌を出して、甲高い笑い声を上げ続けた。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 原作の頃から、この子はお気に入りでした。