くすぐり作文晒し場

カワイイ女の子の靴下脱がしーの足の裏をコチョコチョしちゃう系小説投稿ブログ! 本番行為は一切無しなので、健全な18歳児でも安心してお楽しみいただけます!

ホラー

くすぐり猫の仇返し

「めっちゃかわいいぃぃーーっ!!」
 生後8日の子猫6匹の乳飲み姿を見た美穂(みほ)は、黄色い声を上げた。
 とある高校一年生の美穂は、学校の帰り道、中学時代からの友人真由(まゆ)の家に寄っていた。
 真由の飼っているマンチカンが出産したという話を聞いて、猫好きの美穂は帰宅する間も惜しんで飛んできたのである。

「いいなぁ~~っ! あたしも猫飼いたいなぁー」
 美穂は心底羨ましそうに、体を左右に揺らしながら言った。
「別に、美穂の家で飼えるんなら、あげてもいいんだけどね」
 真由は落ち着いた口調で言った。
「あぁぁ~~悔しいぃぃ~~、なんでお父さんもお母さんも猫アレルギーなのぉぉ~~っ」
「体質はどうしようもないね」
「あぁもぉぉ~~、なんで21世紀にもなって猫アレルギーの特効薬が開発されないのよぉ~~っ! 何のためのノーベル医学賞ですかぁぁ! ……あっ、見て見て! 真由! 真由! おっぱい探してる! おっぱい探してる!」
 大げさに頭を抱えて悶えてはすぐにはしゃぎだす美穂を見て、真由は呆れた。
「真由っ、真由っ! 見てってば! かわいいっ! かわいい!」
「……私は何度も見てるって」
「あぁぁっ! ヤバイヤバイっ!! かわいすぎて悶え死ぬぅ~~」
 身もだえし、のた打ち回る美穂。
 真由は深々とため息をついた。
「あんま騒がないでよ……近所迷惑だから。……まぁ確かに、かわいいけどさ」
 真由は美穂のオーバーリアクションに呆れながらも、猫達のじゃれる姿を見、表情をほころばせた。

▽▽▽

 翌日。真由のクラスのHRが長引いていたため、美穂が一人で下校していると、人気のない路地で突然「みゃー」と甲高い声が聞こえた。
 美穂が驚いて見ると、路地裏に置かれたダンボールの中から一匹のブチネコがひょっこりと顔を出して、美穂に向かってなにやら訴えかけるように鳴いている。
「かっ、かわいいぃーーっ!」 
 美穂はダンボール箱へすっとんでいった。
 ブチネコは、おそらく生後一ヶ月程度。心無い飼い主によって捨てられたのだろう。
「こんにちは、ブチちゃん。あたしは美穂だよー。捨てられちゃったのぉ? かわいそーにねー」
 文字通り猫なで声で美穂は言う。
 ブチネコは、美穂の顔をじっとみつめながら、「みゃー」「みゃー」と鳴き続けた。
「あっ、そうか、お腹空いちゃってるのかー。うーん。なんかブチちゃんが食べられそうなものは……」
 段ボール箱の中には、空になった皿が置いてあった。
「そっか! ちょっと待ってて!」
 お腹を空かせて鳴き続けるブチネコが可哀想でならなかった。
 美穂は、近くの自販機まで走り、パックの牛乳を買ってくると、皿の中に牛乳を注いだ。
 ブチネコは鳴くのをやめ、皿に注がれた牛乳のにおいを確かめると、ちびちびと舌先で舐め始めた。
「か、かわいい……っ!」
 食事をするブチネコの姿を見、美穂は恍惚の表情を浮かべた。

「何やってるの?」
 美穂は背中からの声に振り返った。
 真由だった。追いつかれてしまったようだ。
「あ、真由、見て見て! かわいいよぉ~~」
 手招きする美穂の方を覗き込んだ真由は、眉を寄せた。
「これ、牛乳飲んでるの?」
「んー? そうだよ」
 美穂は、開いた牛乳パックを見せた。
「え、美穂がやったの?」
「うん、そんだよー」
 美穂は、うっとりとブチネコの様子を眺めながら間延びした声を出す。
「……。美穂、ちょっときて」
 真由は、しゃがみこんで猫を見つめる美穂の腕をぐいともって立たせると、路地裏から連れ出した。
「えっ!? ちょっと、何、真由?」
 驚いた様子の美穂。
「美穂、あの猫飼えるの?」
 真由は、ミルクに夢中の猫を横目で見ながら言った。
「えっ」
「飼えないでしょう?」
 真由が迫ると、ぐっと声を詰まらせる美穂。
「飼えない捨て猫に餌なんかやったら駄目だよ。それに牛乳なんて、子猫……お腹壊すかもしれないのに」
 すると、美穂の顔が途端に青くなった。
「えええっ!? お腹壊すのっ!? ヤバイじゃんそれ、早くとめなきゃっ」
 真由は、猫の元へ駆け出そうとする美穂の腕を掴んだ。
「駄目だよ」
「えっ?」
「今飲みかけのミルクなんか奪ったら、美穂、餌ねだられて大変だよ? 一回餌やっちゃうと、なつかれちゃうんだから。美穂。このままだとあの猫、美穂の家までついてきちゃうよ?」
「……で、でも」
「捨て猫って、うちの猫みたいに家がある猫とは違うんだよ? 猫は『かわいい、かわいい』だけのオモチャじゃないんだから、責任もって養えないなら、捨て猫に餌なんかやったら駄目だよ。その場だけ『かわいい、かわいい』って餌やってあやして期待させておいて、結局飼えないってひどいでしょ? 一番つらいのは猫なんだよ? また捨てられるんだよ? わかってる?」
「……ご、ごめん」
 美穂はしゅんとした。
「私に謝んなくていいよ……。あの猫には悪いけど、今のうちに逃げるしかないよ。お腹、壊しちゃうかもしれないけど、飲み続けてると耐性がついてくるから……」
 真由は言葉を濁しながら言って歩き出すが、美穂は名残惜しそうに、ちらちらと食事に夢中のブチネコに目をやっていた。
「美穂!」
 真由は、美穂の腕を引っ張った。
「本当に猫が好きなら、自分で養えない上に、飼い主も見つけてあげられない猫になつかれるような、無責任なこと……猫が辛くなることしないで」
 美穂は、熱心にミルクを舐め続けるブチネコを一目すると、「くっ」と未練を断ち切るようにして、真由とともにその場を後にした。

▽▽▽

 翌朝。美穂はひとり学校へ向かう途中、ふと気になって、ブチネコのいた路地裏を覗いてみた。
 ダンボールは昨日と同じ位置に置かれていたが、中は空で、ブチネコの姿はなかった。
「どこ、いっちゃったんだろう……?」
 美穂がそうつぶやいた直後、甘い香りが漂ってきた。
「え、何これ、……あ、あれ?」
 甘い香りを吸い込んだ美穂は、ふらりと意識を失ってしまった。

▽▽▽

「……ん、んぅ……?」
 美穂はうっすらと目を開けた。
 目の前には薄暗い空間が広がっており、屋外なのか、屋内なのかもはっきりとしない。
 ふと美穂は、自分がしりもちをついて、座っていることに気づいた。
 体を動かそうとして愕然とする。
 両腕は体側についたまま離れず、両足は前方に突き出てたまま動かない。

 美穂の両腕は半透明な紐で縛られており、両足は板状の足枷によって固定されていた。
 服装は制服姿。クリーム色のスクールセーター、黒の襞スカートは家を出発したときと変わりなかったが、スクールソックスと革靴は脱がされており、足枷の脇に丁寧に整えて置かれてあった。前方に突き出されたギリシャ型の正常足。さらされた素足が冷たかった。美穂がきゅっと足指に力を入れると、両足の中央に皺がよった。

「お目覚めのようだな」
 しゃがれた声に、美穂はびくっと肩を揺らした。
「だ、誰っ!?」
 暗闇から、ぬっと美穂の眼前に現れたのは、二足歩行の真っ黒な猫であった。
 美穂は唖然とした。
「罪人美穂よ」
「ひっ!? ね、猫さんがっ、しゃべった!!?」
 美穂は声を震わせた。
「私は猫又。化け猫と言った方がわかってもらえるかな?」
「化け、……猫?」
 美穂はまったく状況が飲み込めず、今にも泣きそうになった。
「さよう。私は、この地の猫達の安全と平和を守るために存在する、いわば、お巡りさんなのだ」
「……ね、猫の、お巡り、さん?」
 美穂の頭の中で『困ってしまってニャンニャンニャニャーン!』と愉快なメロディが流れ、慌てて打ち消した。
「お巡りさんの仕事。わかるかな? 悪事をはたらいた人間を捕まえる。すなわち、猫をいじめた人間を捕まえる。そして、猫をいじめた人間を罰するのが私の仕事なのだ」

「猫を、……いじめ……っ!?」
 美穂はハッとした。
「思い当たる節があったようだな。そう。お前は昨日、ブチネコのぼうやに毒入りの液体を飲ませたのだ!」
「ど、毒入りっ!?」
「そうだ。おかげで坊やは、朝からが下痢が止まらない」
 美穂は内心申し訳なく思った。
「(やっぱりあのこ、お腹こわしちゃったんだ……ごめん)」
「生後一ヶ月の坊やに毒を盛るなど言語道断! 罪人美穂! お前を『舐め舐めの刑』に処する」

▼▼▼

 猫又が合図を出すと、暗闇から8匹の猫が姿を現した。
「……な、なめ? ……ちょと、ちょっと! ちょっと待って! あたし、毒を盛ったわけじゃないよ! あの子、ほら、お腹すかせてたから、なんかあげなきゃって思って……」
 美穂は必死に訴えた。
「毒を盛ったわけではない? ならばお前は、毒かどうかもわからないものをお腹を空かせた坊やに与えたのだな。無責任は罪だ。しっかりと罰を受けてもらうぞ」

 美穂の足元に、8匹の猫が集まってきた。
「ひゃっ!?」
 右の素足に猫のしっぽがふわりと触れ、思わず声を上げる美穂。美穂の足の指がきゅっと縮こまった。

「執行!」
 猫又の合図で、2匹の猫がそれぞれ美穂の右足、左足のかかとをぺろぺろと舐め始めた。
「きゃっ!!? あはっ、なにっ、やめっ……あはっあはははっ、ちょっとっ! たひひ、ひひっ、くふふふふふふ!!」
 ざらざらとした猫の舌先が美穂の素足のかかとをなでる。
 美穂の両足はくねくねとくすぐったそうによじれた。
「うはっ!? あはは、何っ!? やめてっ! きゃはは、やははははっ」

「どうだ? 罪人美穂。『舐め舐めの刑』は?」
「やはっ! ちょ、ちょっとぉぉっ!! あははは、やめてっ! 気持ち悪いぃぃ、くふふふ、ひひひひひ」
 美穂は、笑いをかみ殺すように、首を左右に振った。

「喋られるうちに聞いておこう、罪人美穂。犯行当時、お前には共犯者がいたそうだな。そいつの名前を教えてもらおうか」
「きゃはははっ! えっ、何っ? ひひひ、ほひょっ、共犯しゃぁぁ!? ふふふう、何の、ひひひひ、なんのことぉぉいひひひ」
 ざらざらとした猫2匹の舌は、美穂のかかとを刺激し続ける。
「誤魔化そうとしても無駄だ。複数の目撃情報がある。罪人美穂。犯行直後、お前を現場から逃がす手助けをした人間がいたはずだ。共犯は重罪だ。捕まえて罰しなければならない」
「あぁ、ふははははっ!!」
 美穂は思い至った。真由のことだ。しかし、真由は共犯ではなく、自分の過ちを叱っていたのだ。
「ちがっぁあはははは、あの子はっ!! ひひひ、共犯なんかじゃ、くふふふ……ひひっ」

「共犯者を庇う気か」
 猫又は、美穂の説明をさえぎった。
「ちがっははっ、聞いてっ! ひひひひ、あの子は、違うの、くふふ」
「言い訳はいらん。罪人美穂。お前は共犯者の名前だけ言えばよいのだ」
「な、ひひひ、名前っ!? くふふふっ、だからっ! 共犯者じゃなくて、私の――」

「あくまで共犯者の名前は言わない気だな。ならば、執行!」
 猫又が合図を出すと、待機していた残り6匹の猫が、一斉に美穂の足の裏を舐め始めた。
「きゃっ!!? あはっ、いやぁぁはははははははははははは!!!」
 突然強くなった刺激に、大笑いしてしまう美穂。
 猫達はおのおの足枷に乗っかったり、前脚で体重をささえたりして、陣取り、美穂の足の指、土踏まず、足の甲、足の縁の部分など、美穂の素足をまんべんく舐め回した。
「にゃぁぁぁぁっはっはっはっはっはっははっ!! ヤバイヤバイヤバイぃぃっひひひひひひひひひっ!! ちょっとぉぉぉぉっはっはっはっは、やめてぇぇぇぇっはっはっはっはっはは~~っ!」
 美穂は、足裏の刺激に身をよじって笑う。
 がたがたと足枷が音を立てた。

「やめて欲しければ、共犯者の名前を言え」
 猫又が言った。
「名前を言えば、お前に執行猶予をつけてやろう」
「にひゃひゃっひゃひゃひゃっ、しっこっひっひっひっひ、執行猶予ぉぉぉいぃひひいいっひっひっひ!? 言わないとどうなるのっ、ひゃっはっはっはっは~~?」
 猫の唾液で、美穂の素足がべとべとになっていく。
 くすぐったさに指をすり合わせると、にちゃにちゃと音を立てる。
「24時間、刑を続行する」
「あははははははっ!!? そんなのっ……あっはっはっは、死んじゃうよぉぉぉ~~っはっはっはっはっはっは!!」

 猫達の舌使いはかなり器用で、美穂の足の指と指の間に丁寧に滑り込み、舌先で指間の皮膚をこそぐように撫でた。
「あひゃっ、あひゃひゃひゃひゃひゃっ!!? いぃぃ~~~っはっはっはっはっはっはっはっは!!」
 かかとを左右から同時に舐められると、びっくりしたように美穂の足指が開いた。
「ふひぃぃぃっ!! ひはははははははははっ! ヤバイってそれぇぇぇぇっへっへっへっへっへっへ」

「猫の舌使いは見事であろう? それは猫が各々の裁量で動いているわけではなく、私がすべてを統制しているからなのだ」
 突然猫又が語りだした。
「きゃぁぁぁっはっはっはっはっは!!? と、統制ッぃぃぃっひゃっひゃっひゃっひゃっは!」
「私は、すべての猫の行動を操る能力があるのだ」
「きぃぃぃっひっひっひっひっひ、そんなぁぁはっはっはっはっはっはっは~~っ!」
 猫又は、人間のくすぐり方を熟知しているような卓越したテクニックを見せた。

 1時間ほどくすぐられたところで、美穂は耐えられなくなった。

「ひゃぁぁ~~っはっはっはっはっ!!? わかったぁぁぁはははは、言いますっ、名前教えるぅっ!! きゃははははははっ!!?」
「早く言え」
「ちょゃぁあぁっはっはっはっは、一旦とめてぇぇへっへっへ!! 説明っ、ひひひひひ説明させてぇぇ~~」
 美穂は泣きながら笑い叫んだ。
「駄目だ。罪人美穂。聞かれたことのみに答えよ。こちらの質問に反する返答は反逆とみなして、刑を続行する」
「そんなぁぁっはっはっはっはっ!!」

 猫又の合図で、美穂の足裏への責めが若干弱まった。
「これで喋られるか?」
「ひぃぃ~~っひひひひひひひひひ、なはっ、なんとかぁぁぁっはっはっはっはっは」
「共犯者は誰だ?」
「きひひひひひ……ひっひっひっひ」
 美穂は黙ってしまった。
 実際には共犯者でもなんでもないため、名前を出すことに気が咎める。
「執行!」
 猫又の合図で、急に足裏への刺激が強まった。
「ぎゃははははははははっ!!! だぁぁぁっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!! 駄目ぇぇいやぁぁはっはっはひゃひゃひゃひゃ」
「名前は?」
 美穂は、あまりのくすぐったさに耐えられなかった。
「だっはっはっはっはっはっ……まゆっ!!! 真由ぅぅぅっひっひっひっひっひっひっひっひ!!」
 8匹の猫は疲れた様子もなく、ぴちゃぴちゃと音を立てながら美穂の足を舐めまわしている。
「真由か。罪人真由だな。そいつは今どこにいる?」
「あひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ、がははははははっ! 学校ぅぅぅぅっひっひっひっひっひ」
「学校の、どこだ?」
「ぎゃっはっはっはっはっはっはっはっ!! じかっひひひひひひ、時間がわかんないとあひゃひゃ、どこいるかわかんないぃぃぃぃっひっひっひっひっひっひ~~!!」
 美穂は涙を撒き散らして叫んだ。
「人間時刻で12:30だ」
「あっぁっはっはっはっはは、昼休みぃぃっひっひっひっひ、教室にいるはずぅぅぅっはっはっはっはっはっは!!」
「どこの教室だ?」
「いぃぃぃひひひひ、一年っくひゃひゃひゃ、四組ぃぃぃっひっひひっひっひっひひ~~」
 美穂は、馬鹿笑いしながら、必死に頭を回転させた。
「(ヤバイ……真由の名前と居場所を喋っちゃった。早く、濡れ衣だってこと説明しないと、真由が本当に罪人扱いされちゃう……)」

「我々の裁量では、共犯はかなりの重罪にあたる。罪人真由には『超舐め舐めの刑』が妥当だろう」
 美穂はぞっとした。猫達の足裏責めは、弱まることなく続いている。
「やはははははっ!! ちがっっひゃっひゃっひゃ、違うの!! 話をっきぃぃひひひひひひひい、話をきいてぇぇぇぇっひっひひっひっひっひ!!」
 猫又は美穂の言葉を無視すると、自身の尻尾を揺らし、ピンク色の粉を撒き散らし始めた。
「きやぁぁっはっはっはっはっ!!!? なっ!!?」
 ピンク色の粉が美穂の顔にかかると、甘い香りがした。美穂は笑っているために、一気に大量の粉を吸い込んでしまう。
「執行猶予だ。しばらく休んでいると良い。私はこれから罪人真由の確保へ向かう」
「いやっぁはっははははははっ!! まぁは待ってぇぇ、……真由はぁぁっはっは……っは、共犯者、……ひ、なんか、じゃ……」
 言い終える前に、美穂は意識を失ってしまった。

▼▼▼

 美穂はぼんやりとした意識の中、うっすらと目を開いた。
 体が動かない。腕も。足も。
 ここはいったいどこだろうか?
 美穂の意識が徐々にはっきりとしていく。遠くの方で、金属の擦れるような甲高い音? いや、声、が近づいてくる。ぶるぶると空気を激しく振動させる声は、まるで悲鳴のようだ。
 次の瞬間、つんざくような甲高い笑い声が間近に感じられ、ハッと頭を上げた。

「うひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!! いぃぃぃひひひひひひひひひ、ぷひゃひゃひゃっ!! うぎゃぁぁぁっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!」

 笑い声は当然真由のものであった。
 美穂が座った斜め前方で、美穂と向かい合うような形で、真由もまた美穂と同じように足枷で両足を拘束されて、素足の足の裏を猫に舐めまわされていた。 
 美穂と同じスクールセーターと襞スカート姿。おそらく昼休み、教室にいたところ、そのままの格好で連れ出されたのだろう。脱がされたスクールソックスの詰め込まれた革靴は、足枷の傍にかかとを揃えて並べられていた。足枷の板から真由の二本の素足、スクウェア型の偏平足が突き出してている。美穂は平日休日にかかわらず、真由が素足でいるところを見たことがなかった。いつも靴下に覆われていて、ほとんど外気に触れない足の裏は、青白く、不健康そうだった。

「ぅぅぅぅぅぃぃいいいいひひひひひひひひひひひひひっ!!! だひっ、だひゃっ、ひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!! うみゃはははははははははははっ!!!」

 目に涙を浮かべ、髪の毛をぶんぶん左右に振り乱して笑い暴れる真由。
 普段人目に触れることのない真由の足の裏は、おそろしく敏感なようだった。
 美穂は、三年余りの付き合いの中で真由が大口を開けて笑う姿など見たことがなかった。
 普段クールな友人真由のだらしない哄笑姿を見せ付けられ、美穂はいたたまれない気持ちになった。

 美穂は、真由の素足に群がる猫の数にぞっとした。
 軽く15匹を超えており、数える気すら起きない。
 
 猫達は、真由のアーチのない土踏まず、親指のつけねのふくらみ、足の指の付け根、足指一本一本、それぞれ指の間、かかと、くるぶし、足の甲、縁、アキレス腱まで余すところなくべちゃべちゃと舐めまくっている。

「うひゃぁぁっはっははっはっはははっはっ!!! うひひひひひひひひっひっひひっひっひぃぃひひひぃいぃ~~、ぶひゃぁぁ~~ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!」

 美穂は、真由が上半身を激しくねじり揺り動かしているのに対し、くすぐられている真由の足そのものがほとんど動いていないことに気づいた。
 よく見ると、猫の舌が真由の足裏を撫でるたび、指や土踏まずがひくひくとわずかに動いている。
 
 真由の足指十本は、半透明の細いひもによって、ぎちぎちに縛られていた。
 足の指が全開になったまま固定されているため、敏感な指間すべてに猫の舌が差し込まれ、くちゅくちゅと指ごと柔らかい皮膚をしゃぶられている。

「うゃっはっはっはぎゃぁぁっはっはっは!!! いぃぃぃうひひひひひひひ~~にゃぁぁぁあああはっはっはっはっはっはっ、うひゃぁぁ~~っはっははっは、ひぎぃぃ~~!!!」

 真由は完全に破顔しており、普段のすまし顔からは想像もつかないほど下品な表情をさらして笑い狂っていた。

「目を覚ましたか。罪人美穂」
 暗闇からぼうっと猫又が現れた。
「ぅきゃははははははっ!!? 美穂ぉぉぉ~~ひぃ~っひっひっひっひっひっひ!? なんなのコレぇぇぇぇうひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!」
 真由も美穂の目覚めに気づくと、美穂に向かって叫んだ。
 あっけにとられていた美穂ははっとした。

「まっ、真由っ! ……やめてネコマタさんっ、真由は、何も関係ないの!」
「罪人真由は、罪人美穂の犯行に加担した罪で罰せられている」
 猫又はぴしゃりと美穂の訴えを跳ね除けた。
「違うの……っ、あのミケちゃんに牛乳をやったのはあたしが勝手にやったことで、真由はそれをとがめて――」
「黙れ罪人美穂! お前はまだ共犯者を庇うつもりか!」
 猫又は怒号した。びくっと美穂は口をつぐんでしまう。
「いひゃっひゃっひゃっひゃっ、だからぁぁあぁっはっはっはっは、私もさっきから言ってるのにぃぃ~~っひっひっひっひっひっひ!!」
 真由が笑いながら叫んだ。
 猫又は真由の弁明に対しても、まったく聞く耳をもたなかったようだ。

 猫又は大きなため息をつくと、ゆっくりと美穂の傍まで近づいてきた。
「罪人美穂。ならば、お前が一人で、すべての罪を背負うか?」
 言いながら猫又は、尻尾の先で美穂の左足の裏をふわりとなぞり上げた。
「あひっ!? いひひひひぃぃんっ!!?」
 溜まらず声を上げる美穂。
「お前が全ての罪を背負うというのであれば、罪人真由は解放してやろう。そのかわり、お前にもあの『超舐め舐めの刑』を受けてもらうぞ」
 猫又は真由の方を指す。
「えっ……」
 美穂は笑い悶える真由の姿を見やる。
「罪人真由の足の指はすべて、特殊な紐で拘束されている。罪人真由よ! 動きを封じられた足の裏を舐めまわされる気分はどうだ?」
 猫又は美穂に説明しながら、真由へ問いかけた。
「うひぃぃぃ~~っひっひっひっひ!!? 頭が変にぃぃぃにゃぁぁぁっはっはっはっは!!! ぎゃぁぁ~~っひゃぁぁっひゃぁくひゃひゃ、くすぐったいょぉぉぉっひゃっひゃっひゃ!! あひぃぃっひっひ美穂ぉぉぉ~~っひっひ、ひゃめっ!? やめさせてぇぇぇぇぇっはっはっはっはっはっははっは~~!!」
 真由は鼻水を噴出して笑いながら叫ぶ。
 真由の素足は、猫に長時間舐められためか、唾液でべとべとになっていた。
 美穂はぞくっと肩を震わせた。
「罪人美穂。どうする?」
「……」
 美穂は、押し黙ってしまった。
「いやぁぁぁっはっはっははっはっ!!!? 美穂っあっぁはっはっはっはっはっはっ!! なんでぇぇっひぇっひぇっひぇ、なんでなんにも言ってくれないのぉぉぉっうひっひっひぃひっひっひ~~!?」
 美穂は真由の叫びに心が痛くなる。が、くすぐりへの恐怖で、口が動かなかった。

 猫又は美穂の様子を見、満足げに頷くと、真由の方へ向き直った。
「罪人真由! お前は終始、己の罪を否認し、私を欺こうとしていたな。偽証の罪は重い。このまま笑い続けてもらうぞ!」
 猫又が言うと、暗闇からさらに6匹の猫が姿を現した。
 真由の飼っている生後8日のマンチカンだった。
 
「にぎゃっぁっはっはっはっはっはっ!!!? 何っ!? 何ぃぃぃっひっひっひいっひっひひぇいっひっひっひ~~」
 生後8日の子猫たちは、母猫の乳首を探すかのごとく、真由の足にむしゃぶりついた。
 ほとんどの子猫たちはまだ目が開いておらず、手探りならぬ、舌探りで真由の足にすがりつく。
 必死に乳頭を探し出そうとしているのか、真由の土踏まずに絶えず舌を這わせる子猫。
 真由の足の親指と人差し指の間に何かあると思ったのか、必死に何かをほじくりだそうと舌を動かす子猫。
 真由の足の小指を乳頭と錯覚したのか、ちゅぱちゅぱと口に含んで吸い上げる子猫。……
 欲望に忠実な子猫たちの責めは容赦なかった。
「はぎゃっぁぁっひゃっひゃっひゃっ!!? いやぁぁぁぁっはっはっはっはは!! みんにゃひゃめてぇぇぇっひぇっひっひっひっひ、うひぃぃ~~っひっひっひっひぁぁぎゃぁぁひゃぁ~~!」

「罪人真由。お前の言葉は届かない。私の統制は絶対的だ」
 真由の6匹の子猫たちは、飼い主真由の足をぺちゃぺちゃと音を立てて貪った。
「うひひゃぁぁぁっはっはっはっははっ!! にゃんっ、なんでぇぇぇっひぇっひぇっひぇっ、私がこんな目にぃぃっひっひっひっひ~~っ!!?」
 真由は、ぼろぼろと涙を流しながら笑い叫んだ。

「ま、真由……ごめん」
 美穂は、真由の笑い狂う姿を、ただ傍観することしかできなかった。
「いひゃっぁっひゃっひゃっ!!! 美穂ぉぉぉひひひひひひっ、謝んだったら助けてよぉぉぉっひぃぃ~~っひっひっひっひっ!!」
 真由は大口を開けて笑いながら、眉をハの字にしたまま美穂をにらんだ。
「うぎぃぃひひひひひひひひひひっ!! もとはといえばあぁぁっはっは、美穂がぎゅにゅっ!? にゅぅぅぅうひひひひひひひ! 牛乳やったのが悪いんじゃないかぁぁぁっひゃぁひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!」 
「……う、うぅ」
 美穂は、何も言葉が返せせずうつむいた。

 子猫たちは、真由の足の裏を舐め続けている。ふやけて皺になった部分を舌先で均すように舐める子猫たち。
「あひやぁぁぁっはっはははっはっ!!? ふへぇぇ~~っひっひっひっ、美穂ぉぉ~~っひぇっひぇっひひひひひ! よくも私をっひゃぁぁっはっはっははっはっ、売りやがったにゃぁぁ~~っはっはっはっははっひぃぃ~~ひひぃひひひひひひひひ!」
 真由は首をぶんぶん左右に振って、舌を出して笑いながら叫んだ。

 美穂は、三年以上自分を親友として支えてくれた真由の言葉を受け、罪悪感で涙が出てきた。
 美穂は中学の頃から何かと真由をトラブルに巻き込んでしまう機会が多かった。真由はいつも、傍若無人な行動ばかりとって周囲に迷惑をかける美穂を、フォローしてくれていたのだ。真由はいつも、どんなときでも、美穂の味方だった。

「いぎゃっぁぁっはっはっはっはっはっ、みぃぃっひっひ、美穂ぉぃいぃぃ~~ひひひひひひひひひっ!!! はっ、はひゃ、薄情もにょぉぉ~~っひゃっひゃっひゃっひゃ!!」

 そんな真由が、今は笑い泣き叫びながら美穂への憎悪を露にしている。

「……真由、ごめん……ほんとにごめん」
 美穂は顔を上げることができず、ぽろぽろと涙を流した。苦痛に顔を歪める真由のいたたましい姿を見ていられなかった。……真由の刑まで自分がすべて受けるから、真由は解放して欲しい。そう言えば、真由が助かることは美穂も承知している。しかし、くすぐりへの恐怖が美穂を萎縮させた。美穂は、たったひとつの解決策すら投じられず、現実から目を逸らしてただ泣いているだけの自分が、情けなかった。
「うひゃぁぁぁ~~っはっはっはっは、ひぎやぁぁ~~~っひゃっひゃっひゃぁぁぁ」
 真由の笑い声と、美穂のすすり泣く声が、暗い空間に響き続けた。

 しばらくして、うなだれて泣き続ける美穂の元へ、猫又が近づいてきた。
「罪人美穂。猶予期間は終わりだ。刑を再開する」
「……えぇぇっ!?」
 美穂は素っ頓狂な声を出し、顔を上げた。
「え、あたしのは、終わったんじゃ、ないの……?」
「誰がそんなことを言った? お前は刑の執行が、延期されただけだ。本来ならば24時間通して執行されるはずの刑に、猶予――休憩時間が与えられたのだ。親切なシステムであろう?」
「そ、そんな……っ」
 美穂は後悔した。……どうせくすぐられるのであれば、最初から真由の刑まで引き受けていればよかった。……。そんなことを今更考えてしまう自分はとことん卑怯者だなと、美穂は自嘲した。
「罪人美穂。覚悟はよいか? 2時間経ったらまた休憩時間を設けてやろう。お前は罪人真由確保に協力してくれたからな。当然だが罪人真由に休憩時間は与えない」

「うひゃっひゃっひゃっひゃ! 美穂の……っ、美穂のばかぁぁぁ~~うひひひひひひひひひひひひっ!!?」
 猫又の説明に、真由が笑いながら怒りを露にした。
 美穂は真由の表情を一瞥して、目を逸らした。

 10匹程度の猫達が、ぞろぞろと美穂の足の周りに集まってきた。
「(親友を売った罰か……ははは……)」
 美穂は、すっかり自暴自棄になっていた。

「執行」
 猫又の合図で、猫達が一斉に、美穂の乾いた足の裏を舐め始めた。
「ふきゃっ!!? ふはははははははっ!! いやぁっはっはっはっはっははっはっ!!」
 美穂は、足の指をくねくねと蠢かして笑った。

「罪人美穂。お前が陥れたブチネコぼうやの舌使いはいかがかな?」
「きゃぁぁ~~っはっはっはっはっは、ふぇぇぇぇっ!!?」
 美穂は目を見開いて、板越しに足元を見やる。右足の親指に食らいついているのは、美穂が昨日牛乳をやったブチネコだった。
 ブチネコは舌先を器用に使い、美穂の右足親指とその付け根、周辺をれろれろと舐めまわしている。
「あひゃぁあっはっはっはっはは、ひゃっ、ブチちゃんごめんんぃひひひひひひひひひひっ!! ひゃめっ、やめてぇぇ~~っはっはっは!!」
 美穂は、涙を撒き散らして謝る。
 10匹ほどの猫達は、美穂の二本の素足に群がり、しきりに舌を這わせた。

「あぁぁ~~っはっははっははっはっ!! やばいぃぃっひっひっひっひ、きつすぎるよぉぉ~~っひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!」
 美穂は大声で泣き喚く。
 すると、向かい合って笑う真由が怒ったように目を見開き美穂をにらんだ。
「うぎゃぁぁっはっははははっはっ、美穂っ!! にゃはっ、にゃに言ってんのぉぉ~~ぁぁああっひゃっひゃ、わひゃっ!? 私よりぃいい~~いっひっひっひ、全然ぬりゅいじゃにゃいかぁぁぁあひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!」
 動かすことのできない真由の素足はぴくぴくと細かく震えている。
「無理ぃぃぃ~~っひっひっひっひっひっ!! あたし我慢できないぃぃ~~っひひひひひひひひひひっ!!」
 美穂は、足をくねらせ言った。
 美穂の情けない言葉を聞いた真由は、頭をがくがくと震わせながら、美穂を罵倒する。

「うにゃははははははっ!!? 美穂っ、いぃぃ~~っひっひっひっひ! あんたもぅなんなんだよぉぉ~~うひゃひゃひゃひゃっ私と替われぇぇぇ~~っひぇっひぇっひぇっひっひひひひひひひひ!!」

「あぁぁ~~っはっはっは!! あたしだってきついのぉぉ~~っひゃっひゃっひゃっひゃ!! それに、いぃっひひひいひひひ、まっ、みゃっはっはっはっ! 真由……っ、真由だってぁぁあひひひひひひひっ!!? あたしがぁぁっはっはっは、ぎゅにゅぅひひひ、牛乳取り返そうとしたの止めたじゃんかぁぁぁ~~ひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!」

「それっにゃぁぁぁひゃひゃひゃひゃっ、それはあんたのためじゃないかぁぁぁ~~っひゃっひゃっひゃうへぇぇ~~へひひひひひひひひ!! 駄目ぁぇひゃひゃひゃ、限界ぃぃぃ~~っひぇっひぇっひぇっひえぇ!!」

 美穂と真由は、互いに相手を責めながら、涙と涎、鼻水を撒き散らして笑い続けた。

「猫の仇返しだ。これに懲りたら、今後は猫をいじめることのないように」
 猫又は、猫達をけしかけ、さらに強く、美穂と真由の足裏を責め立てた。
「ぎゃぁぁぁ~~っはっはっはっは、あひゃひゃっ、ヤバイぃぃぃっひっひっひっひ!!!」
「うひひひひひひ! やぁぁひぇひぇひぇもぅ勘弁してぇ~~っひゃっひゃっひゃ!!!」
 二人の悲痛な笑い声が、暗い空間に響き渡る。
 刑期を終えた彼女達が、友情を取り戻すことは可能だろうか?


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

こんばんは。ertです。
2014年ピクシブにて「足枷に拘束されて、猫に足の裏を舐められる猫好きの女子高生」というリクエストをいただいて書いたものです。

キャラ紹介を兼ねて
くすぐり猫の仇返し表紙
足裏ペロペロ尋問
 足裏ペロペロ尋問
お友達も一緒にペロペロ
お友達も捕まえて一緒にペロペロ

呪擽 ~すみれ2~

 すみれは一年前に失踪した親友の部屋で、一冊のノートを見つけた。
 表紙に『かの子の呪い調査報告』と、親友の字で書かれてある。
 最初のページの日付は、一年前にすみれが親友に『かの子の呪い』について話した日だった。
 インタビュー形式で、すみれの言葉が丁寧に記されていた。
「こんなこと、してたんだ……」
 次のページには、かの子の死亡時の新聞記事が貼り付けられており、彼女の生い立ちが、時系列順に記されている。
 さらにページをめくると、卓也の彼女の死、親衛隊メンバーの失踪や死についての記事もある。
 すみれは、親友の神経質な性格を思い出した。
 読み進めていくと、どうやら『かの子の呪い』で失踪したと思われる事件は、親衛隊メンバーだけではなかったらしい。
 卓也の彼女の妹や友人、親衛隊メンバーのいとこなど、一見卓也とまったく関係なさそうな人間まで、含まれている。
 すみれは、自分の推測に確信を持って、ページをめくり続けた。
(あの子なら、絶対どこかに書き残してあるはず……)
 ふと、ページをめくる手が止まった。
 ページが破れていた。

 もしこれを読んでいるとき、私がこの世にいないのならば、

 ページの冒頭にそれだけあって破れている。
 かなりの枚数がごっそりと抜けている。
「そ、そんな……」
 すみれは絶望に顔をゆがませた。
 親友の書き残しから察するに、彼女は明らかに『かの子の呪い』の核心部分に触れようとしている。
(それがこの有り様では……)
 すみれは最後に一枚だけ残ったページを見て、安堵した。

 呪われているのは後背卓也ではない。

 後背卓也へ向けられる好意そのものだ。

 第三者がその好意に触れたとき、死ぬ。

 好意を抱いた本人が客観的に自身の好意を認識したときも、死ぬ。


 すみれは、親友の最後の書き置きを見て、パタンとノートを閉じた。
 親友が自分と同じ結論に達していた。
 すると『かの子の呪い』を回避する策はいくらでも立てられる。

(……え?)

 では、なぜ、回避策を知りながら親友は失踪したのか?

 そんな疑問が頭をよぎった瞬間、すみれの眼前の光景が一変した。

「ここ……」

 すみれは、卒業した中学校の教室にいた。
 一年間過ごした教室。
 かの子がいて、卓也がいた教室。その一画に、すみれの机もあった。
 窓から夕日が差し込んでいる。
 教室を見回して、夕日に望む一人の少女を発見した。
「かの子」
 セミロングの髪の毛はぼさぼさ。半袖のポロシャツ、サマーベストにプリーツスカート。足元は上履きも靴下も履いていない。
 ゆっくりと少女が振り返った。
 垂れ目で団子っ鼻。視線はいつも自信なさそうに左右に泳がせて、つらそうに眉を寄せ、人付き合いが苦手なのは明らかなのに、それでも他人に気を遣い、ぎこちなく微笑む仕草。
 中学時代のままの、反町かの子だった。
「かの子!」
 すみれはかの子に駆け寄った。
 かの子は目を見開いた。
「ごめん! かの子……、私、かの子のこと、助けてあげられなくて」
 すみれは、クラスで卓也の親衛隊メンバーに罵られているところを見て見ぬふりをしてしまった。そのときはまだかの子の病気のことを知らなかったが、それでもかの子への言葉の暴力はひどかった。その場で動けなかった自分が悔しかった。だから、後日他クラスにいた卓也の彼女に相談したのだ。すると彼女はすぐに親衛隊にかの子への嫌がらせをやめるよう言いに行った。彼女は、自分も一度かの子と話をしてみると言っていた。彼女の行動力に、すみれは余計に自分が情けなくなった。そのうちにかの子が殺され、彼女も死んでしまったために、罪悪感を抱き続けていたのだ。
 かの子はきょとんとした表情で首をかしげた。
「かの子のこと、ちゃんと知ってれば。ちゃんと理解してあげてれば、私……、私……」
 すみれは涙を流し、かの子を抱きしめた。人間らしいぬくもりがあった。
 かの子は優しく微笑み、すみれの背中に手を乗せた。
 二人はゆっくりと対峙する。
 すみれはかの子の心配そうな表情を見て、
「許して……くれるの……?」
 かの子は指先ですみれの涙をぬぐい、微笑んだ。
「ありがとう」
 すみれはぐずっと鼻を鳴らして、微笑み返す。
 かの子の髪の毛をそっとなでると、かの子は照れくさそうに笑った。
 すみれは、かの子と心が通じ合った気がした。
 
 だから、勘違いしてしまったのだ。

 口が滑ったのだ。

「かの子、あいつらに、何されたの?」

 うつむき気味だったかの子の動きが止まった。

『知りたいか?』

 そう言われた気がした。
 顔を上げたかの子には顔がなかった。

 突然目の前が真っ白になったすみれは、気づくと教室の床に大の字に寝そべっていた。
 着ていた服が中学時代の制服になっていた。足元は白いクルーソックスと上履きを履いている。
 両腕、両脚にそれぞれ一人ずつ、かの子の姿をした顔のない少女が座っており、まったく身動きが取れない。
『あんたさ、卓也君のストーカー、やめてくれない?』
 立ってこちらを見下ろしていた顔のない少女が言った。
 その声はかの子ではなかった。聞き覚えがある。中学時代、クラスで嫌と言うほどかの子を罵った、親衛隊のリーダーの女子生徒の声だ。
 すみれは何か言おうとするが、言葉が出ない。
 自分の意思とは別に、首が激しく左右に振られた。
 顎や首に、ぼさぼさの髪の毛先が当たった。
『そういう態度取ってさ。いい加減にしなよ。とぼけて天然ぶってればみんなが優しくしてくれるって? 卓也君の優しさにつけこんで卑怯なんだよお前』
(……そうか。これはかの子の記憶なんだ)
 すみれは、目の前の少女達から次々と罵詈雑言を並べ立てられた。
 それでもすみれは、黙って首を振ることしか出来なかった。
(かの子……なんで何も言い返さないの。言われっぱなしで……つらいだけなのに……)
 今となってはかの子の病気のことも知っている。だから余計に、かの子への同情の念が強かった。
 すみれは人格を否定するような言葉を立て続けに浴びせられ、涙が出てきた。
『きゃはは、泣いてるよこいつ!』
『あんまり泣かせちゃだめだよ。言われたじゃん本妻に』
『卓也君とこいつの問題だから手を出すなって? 馬鹿じゃんあの女。自分の彼氏が取られそうなのに悠長すぎ』
『卓也君の彼女だからって、調子乗ってるよね。最近』
 本妻というのは、卓也の彼女のことだろう。
 彼女のことまで、こんなに悪く言っていたなんて。
 すみれは、過去のことだと知りながらも親衛隊達に憤りを覚えた。
 しかし、怒りが一瞬で消え、心が悲しみに埋め尽くされた。
 すみれの目からは止めどなく涙があふれ出ていた。
 かの子は怒りという感情に疎かったのかもしれない。
『いつまでも泣いてんなよ!』
 突然少女が怒鳴った。
 すみれはびくっと肩を揺らした。
『涙で同情誘うなんて最悪。泣いてれば誰か助けてくれるって、甘すぎるよ』
『泣き虫のストーカーにはお仕置きが必要だよね』
『そう。あんた、何回注意してもストーカーやめないから、もう体で教えてやることにしたから』
 すみれは顔を小刻みに震わせることしかできない。
 息が上がっている。心臓がバクバクと高鳴っている。かの子の感じた恐怖は計り知れなかった。
『安心しな。殴ったり蹴ったりしたらアザが残って、またあの女がうるさいから……』
 リーダーらしい少女は言いながら、すみれの腰あたりに馬乗りになった。
『こうしてやる』
 少女は両手を、すみれの両腋の下へ食い込ませた。
「んひゃぁあぁっ!!!?」
 すみれは甲高い声を上げた。
 とてつもなくくすぐったかった。その感覚が自分のものなのか、かの子のものなのか、わからなかった。
『うはっ、反応おもしろ!』
 言いながら少女は、指一本で腋の下をなぞり始めた。
「はっ、はひぃいっ!!!? ひ、ひひっ、ふひひっ!!!! かあぁ、はぁっ!!!」
 すみれの体は痙攣するようにびくびくと震えた。
『え、こいつめっちゃくすぐり弱いじゃん』
『指一本でこれって、やばくない?』
『お仕置きのやりがいあるじゃん』
 腕や脚に乗った少女が、口々にそんなことを言う。
 馬乗りになった少女は、くすぐる指を二本にして、こちょこちょと軽く動かし始める。
「ふゅひひひひひっ!!? うひっ、ひははひゃひゃ、あひゃっんぅぅひひひっひ」
 すみれは歯をかみしめた。
 と、同時にぞっとする。
 まだ一人しかくすぐっていない。しかも指二本で。
 噂では、六人にくすぐられて、笑い発作を起こして……。
『感度もわかったところで、本番いっちゃう?』
 馬乗りになった少女が擽る指をとめて言った。
 他の五人の少女も賛同した。
 脚に乗った少女二人に、両足から上履きが脱がされた。
 すみれは制止を求めたかった。
 しかし、すみれは、目に涙を浮かべ、ふるふると首を左右に振ることしか出来なかった。
『ストーカーに制裁を!』
 一斉に六人の指が、すみれの、腋、お腹、内股、足の裏へ襲いかかった。
「ぷひゃははははははははははっ!!!!? はひぃぃはははっはは、ひゃぁぁあっはっはっはっはっはっはっは~~!!!!」
 我慢できるくすぐったさではなかった。
 すみれは「笑え」という脳の命令通りに、ひたすら大声で笑った。
『なんだこいつ。笑ったら結構可愛いじゃん』
『鼻水垂れてるのにぃ?』
『涎きったねぇ!』
 少女達の嘲笑が聞こえる。
 しかし、全身を這い回る指のくすぐったさでそれどころではない。
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!? ひぃぃあぁあっははっはっはっはっは、ひぃぃ~~っひゃひゃはははっはははっはは!!!」

 くすぐられた時間はせいぜい一分か二分程度だったろう。
 それでも、すみれは全身汗びっしょりで、体中が火照って熱くなっていた。
『弱点を探して遊ぼう~~!』
 全身のくすぐりが中断されると、今度は局部的にくすぐられる弱点探しが始まった。

「いひゃひゃひゃひゃっ!!! あぁぁあ~~ひゃはっはっはっはっひひぃひはっは!!!」
 腋の下を腕に乗った二人にくすぐられると、すみれは激しく首を振って笑った。
 半袖のポロシャツの袖口から指をねじ込まれ、素肌の腋を直にほじられると、一層甲高い悲鳴を上げた。
「きゃぁああああははっはっはっははっは!!! にゃあああああひゃはははっははっははは!!」

 アバラは、骨をしごくようにごりごりとくすぐられるのがきつかった。
「だぁぁあはっはっはっはっはっはは!!! あひゃあぁぁ~~はぁあああひひひひひ」

 脇腹は、かぎ爪のように引っかけた人差し指でぐりぐりツボ責めされるのが耐えられなかった。
「うひひひひっひひひひひいひひ!!!! ぎひひひひひひひひひひひっ、いぃぃ~~ひひひっひひひひひひひひひ」

 べろんとシャツの裾をまくられ、へそ周りを指先でくすぐられるのは、じれったくてたまらなかった。
「あははっ、はひぃぃっ……ひぃ~~……ふひっひっひひ、あひぃひぃ」

 内股は指先ではじくようにくすぐられたり、親指を脚の付け根にぐりっと押し込まれぐにぐにと揉まれると、下腹部の辺りからせり上がってくるように笑いが漏れた。
「んぅぅぅぅふふふふふぅぅぅひゃひゃひゃひゃひゃ!!!! あぁぁあひゃはひはひあひひっはははっはははっははは!!!」

 どの部位も少女達を満足させたようだ。
 最後は足の裏だった。
『靴下どうする?』
『とりあえずそのままでいいんじゃない?』
 すみれ自身、足の裏がそれほど敏感だという自覚はなかった。
 しかし、感覚はかの子のもの。
 少女の人差し指が白いソックス越しにすみれの土踏まずに接触した瞬間、全身に電流を流されたような感覚を覚えた。
「きひゃあぁああああああ!!?」
『うわ、すっげぇ声』
『人差し指でなぞっただけなのに』
『足の裏弱いんだぁ~~、へぇ』
 足元からそんな声が聞こえた直後、足の裏は数本の指でがりがりとひっかかれた。
「うわぁぁあひゃひひひひゃはははっ!!!? いぎゃぁぁはははははっはははんぅぅぅうにゃぁあひはひはひひゃひゃひゃひゃひゃ!!!! だぁぁあっひゃっひゃっひゃっひゃぁぁ!!!」

 足の裏が弱点とバレてからは、とにかく脚から足の裏にかけて集中的にくすぐられた。
 靴下を脱がされ、足を直にくすぐられ、すみれは発狂しそうだった。
「あぎゃぁああははっはははははっはあは、ひやあぁあぁあっはっはっはっはっはだひゃぁぁぁぁ!!!」
 大きく広げられた脚を四人がかりでくすぐられたり、汗ばんだ足の裏をなめられたり、足の裏にマジックで文字を書かれたりと、少女達の足責めは多岐に渡った。
 すみれは息をつく間も与えられず、ただただ半狂乱に笑い続けた。

「ぐひゃひゃひゃひゃひゃっ!!? いぃぃぃぃ~~ひひいっぎひひひひいひうにゃぁあぁぁひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」
 再び大の字に押さえつけられたすみれは、全身を少女達にくすぐられていた。
「あがぁあぁぁぁひゃぁあぁっぁあああああ!!!? ……うひひひひっひひひひひひ!!!」
 すみれは失禁し、意識を失いかけるが、少女達のとまらないくすぐりに再び笑い出した。
『こいつ何回漏らすんだよ』
『中学生にもなってねぇ』
 という嘲笑の声に混じって、
『……ねえ、そろそろやばくない?』
『なんか声、おかしくなってきてるし……』
 と、心配するような声も聞こえてくる。
『何、あんたら。うちら裏切るの? じゃああんたらがこいつみたいにくすぐられる?』
 その言葉に、反論を示す声はなかった。

「ああぁぁああひゃひゃひゃひゃひゃ!!! があぁあはがあぁあはははっははっははっは!!!!」
 すみれは体の限界を感じていた。
 のどはカラカラで、肺は締め付けられるように苦しい。今にも呼吸が止まってしまいそうだ。

 しかし、

 いったいいつまで笑い続ければ、死んで楽になれるのだろう?

 まだ、死ぬほどではない気がした。
 こんなに苦しいのに、死ねない気がした。
 それがたまらなく恐ろしかった。

 かの子……。

 死ぬまで笑わされるって、どんな気持ち?

 ねぇ、かの子……。

 これで私は、あなたの理解者になれるの? 

 すみれが薄れゆく意識の中で巡らせた思考は、すみれ自身の笑い声でかき消された。
 
 
(完) 


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◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 久々の長編、ご読了ありがとうございました!
 すみれの親友のノートの破れたページはこのブログのどこかに落ちています。

【呪擽】
激しく擽られて死んだモノの呪い。それは、死んだモノが生前に執着していたモノに蓄積され、(笑)となる。その呪いに触れたモノは擽られ、新たな笑いが生まれる。

 ↑これ、一番最初にネタで書いてみたものの、小説中に入れる場所がなくて困りました;;

呪擽 ~まゆ2~

「きゃ!?」
 まゆは突然のことに軽く悲鳴を上げた。
 中庭にいたはずの自分の体が、いつの間にか、夕暮れの教室の中に移動したのだ。
 座っていたベンチが突然消えたために、尻餅をついてしまった。
 まゆは両手のひらをまじまじと見つめた。
 たった今まで持っていたラブレターが消えている。
 結局まゆは、好奇心に勝てず、封筒から便せんを取り出し中身を読んでしまったのだ。
「……ここ、どこ?」
 まゆは声に出してつぶやいてみると、余計に心細くなって、スカートの裾を握りしめた。
 ふと、視線を上げた先に、灰色のサマーベストを着たセミロングヘアの少女が後ろ向きに立っていた。窓の外を眺めている。
 まゆは、ギョッとした。
 唐突に出現したように感じられた。
「だ、……だれ、ですか?」
 少女はゆっくりとまゆの方へ振り向いた。
「……っ!!!!」
 まゆは、全身に鳥肌が立つのがわかった。
 顔のない少女と目が合った。
 少女が一歩、まゆの方へ足を踏み出した。
 まゆは恐怖のあまり立ち上がることができず、地面を蹴って、後ずさりした。
 扉まで数メートル。
 まゆが扉の方向を確認してから振り返ると、少女が二人に増えていた。
「ひ……っ」
 まゆは悲鳴を漏らし、匍匐前進をするように扉に向かって這った。
 後ろを振り返る。
 少女は六人になっていた。
 まゆはぶるぶると首を振り、なんとか扉にたどりついた。
 しかし、
「え……っ」
 まゆは絶望にうちひしがれた。
 その扉には取っ手がなかった。
 次の瞬間、足首をつかまれる感触がして、まゆは声にならない悲鳴を上げた。

 まゆは幼少の頃から足腰が弱かった。
 小学校、中学校と、体育はほとんど見学で、ろくに走ったこともなかった。
 人生の中で足を使うことが、人よりも少なかった。
 だからかもしれない。
 靴と靴下を脱がされ、貧弱な足の裏をべろべろとなめ回される感覚は、とてつもなく新鮮で、尋常じゃないほどくすぐったかった。
「ふひゃははははははははははははっ!!!? にゃああぁぁぁっはっはっはっはっはっはは~~!!!」
 まゆはロングヘアを振り乱して大笑いしていた。
 両腕を体側に付けた仰向けの状態で、二人の少女に床に押さえつけられ、片足二人ずつ四人の少女に足を掴まれている。
 前方に突き出すように抱き上げられた足の裏。
 足首を持った少女が舌でまゆの素足をなめ回す。
「いにゃははははははははははっ!!! やだぁあはははははははは、ひにゃぁあぁぁっはっはっはっはっはっは!!!」
 くねくねと動くまゆの足の指。
 膝を抱え込んだ少女が、片手でぐっとまゆの足の指を握り、後へ反らせる。
「んぅぅぅううひひひひひひひひひひひっ!!!? 無理無理無理ぃぃひひひひひひっ!!!」
 反り返った足の裏をれろれろとなめられ、まゆは歯ぐきをむき出しにして笑う。
 もう片方の足では、少女がまゆの足の指をしゃぶり上げ、舌先で指の間をちろちろとくすぐっていた。
「いふぅぅ~~ひゃひゃひゃあははあっは、うにゃあぁぁあぁっははっはははははひはひあひあひあひひひひ!!!」
 まゆの足の裏は、少女のよだれが糸を引いていた。
 足の裏から送られてくる刺激に、まゆは頭の中がちかちかとショートするような感覚に襲われる。
 開きっぱなしの口からは涎がだらだらと溢れだし、見開かれた大きな目からはとめどなく涙が流れた。
「あがぁぁあぁひゃぁあっぁあ~~はあひあひあひははひはひはひはひはひひひひひひひぃぃ~~!!!!?」
 顔を真っ赤にして笑い続けたまゆは、びくびくと海老反りになるように体を痙攣させ、失禁した。
 少女は構わず、まゆの足をれろれろなめ続ける。
 まゆは白目をむき、舌を出して、甲高い笑い声を上げ続けた。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 原作の頃から、この子はお気に入りでした。

呪擽 ~泉2~

「あなた、……誰?」
 尻餅をついた泉が、目の前の少女に質問した。
 夕日の差し込む教室。
 ここはどこ?
 中庭は?
 今の今まで昼だったはず?
 泉は混乱していた。
 少女が一歩足を踏み出し、泉に近づいた。
 その瞬間、泉は戦慄した。
 本能が「逃げろ」と言っている。
 泉は起き上がり、教室の扉めがけて走った。
 もともと足は速かった。
 扉に到達した泉は扉の取っ手に手をかけようとして、
「……っ!?」
 絶句した。
 取っ手がなかった。
 ハッと振り返った泉は、
「ひぃぃぃ!?」
 思わず悲鳴を上げた。
 姿が全く同じ少女が六人、泉めがけて近づいてきていた。
 泉は少女達に背を向け、扉をこぶしでダンダンと叩いた。
「誰か! 誰かぁ!!! 誰か助けてくださいぃ!!!」
 泉は叫んだ。
 涙が流れ出した。
 怖かった。とにかく、怖かった。
 と、突然、背後の気配が消えた。
 泉は、動きを止めた。
 心臓がバクバクと高鳴っている。
 額から汗が流れ落ちた。
 息が上がっている。
 振り返ってはいけないと、わかっていた。しかし、確かめずには、いられなかった。
 泉はゆっくりと、目線、首を背後へと向けた。
 鼻先数ミリの位置に、少女の鼻があった。目の高さが一緒だった。
 しかし、少女には、顔がなかった。
「きゃあああああぁあああああああ!!!」

 泉は小さい頃から足が速かった。
 幼稚園のかけっこも、小学校のリレーも、中学の徒競走でもいつも一番だった。
 だからかもしれない。
 自慢の引き締まった脚を、四人の少女によってたかって指先でなで回されるのは、たまらなくくすぐったかった。
「きぃいぃいいいいいひひひひっひひひひっ!!!! ふぁっははあはっははははあははは、あひあひひぃぃぃいはははは!!!」
 泉は取ってのない扉に背中を付けて尻餅をついた状態で、二人の少女に腕と肩を押さえつけられていた。
 残り四人の少女が二人ずつ泉の片足を抱えて持っており、泉は大きく左右に開脚した状態で、足の裏や腿、股などをくすぐられていた。
「あひはひぃぃ~~ひいひっひっひっひ!!!! やめへぇぇえぇっへっへっへっへっへ!!!」
 白いハイソックスとスニーカーは脱がされている。
 足首を持った少女に、がりがりと素足の足の裏をくすぐられ、膝を抱えた少女に、内股をこそこそとくすぐられる。
「ひひゃあはははっはははははは!!!! いやあぁあぁあっはっはっはっはは、だめえぇえぇああひひひひひひひひ!!」
 泉はおっぴろげた両脚をびくびくと痙攣させて笑う。
 首を左右に激しく振ると、二つにくくった髪の毛が、べしべしと顎に当たった。
 両脚から送り込まれる刺激は、泉には激しすぎた。
「あがぁあぁあはははっはははは、きひゃぁあぁははひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」
 全身を汗びっしょりにして笑い続ける泉。
 丸見えになった下着が見る見る湿っていく。
 すぐ傍らの内股には爪を立てた少女の指がこそこそと激しくうごめき続けている。
「ひぎゃあぁあははははははははっ!!!! あひゃあぁぁぁあああああ!!!?」
 泉はびくんと体を震わせてのけぞると、膝をガクガクと揺らして失禁した。
 広げられた股間の下の床に水たまりが広がっていく。
 少女達の指はとまらない。
 泉は舌を出して悲鳴のような笑い声を上げ続けた。


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(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 制服とスニーカーの組み合わせって好きです。

呪擽 ~まゆ~

 まゆが飲み物を買って中庭に戻ってくると、そこに、泉の姿はなかった。
 ベンチの上に食べかけの総菜パンが置かれている。
 トイレにでも行ったのだろうと、まゆはベンチに腰掛け、自分の弁当を取り出した。
 ふと、ベンチの上に置きっ放しになった便せんが目に入った。
「不用心……」
 他人のプライバシーをこんな形で放置するなんてと、泉に対して軽く憤りを覚える。
 便せんを手に取った。
 折りたたみ、封筒にしまい直そうとして、手が止まった。
 まゆは目を上げ、周囲に視線がないことを確認した。
(……誰も見てない)
 突然まゆの中にわき上がった好奇心。
 まゆは、首を左右に振った。
(だめだめ。他人のラブレター盗み見るなんて、趣味悪い)
 まゆは心の中で言い聞かせ、便せんを封筒にしまい、丁寧にベンチの上に置いた。
 弁当を膝に置き、箸を構えた。
「…………」
 まゆは少し考えて、弁当と箸を元の位置に置き直した。
 泉がトイレから帰ってくるまで、待っていようと思った。
 待ち時間は手持ちぶさたで、とてつもなく、長く感じられた。


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 こんばんは。ertです。
 晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
 こういう子のちょっとした葛藤ってフェチ心をくすぐりませんか?
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