新聞部一年生の河合みすず(かわい みすず)は早朝の校内巡回を日課にしていた。
天然パーマの髪の毛はミディアムカットに切りそろえられ、頭にカチューシャを付けている。
(そうです! 面白いネタは日々の積み重ねから発見されるのです!)
みすずはその日も、メモ帳とペンを持って、学校中を練り歩いていた。
好奇心に満ちあふれた瞳をせわしなく動かし、いつもの風景に紛れ込んだネタ探しに励む。
二年生の下駄箱から匂いを感じた。
(いや! 靴の臭気ではなくてですね。私のマスコミセンサーにビビッときたわけですよ!)
みすずは、二年生の下駄箱を一つずつのぞき込んでいった。
「ビンゴっ!!!」
みすずは思わずその場で叫んだ。
二年生の『後背』という生徒の上履きの上に、薄水色の封筒が乗っている。
ハッとして周囲を見回した。
誰もいないことを確認してから、手にとってみる。
表に『後背卓也様』とある。
(うっひょー!!! これだから早朝巡回はやめられないっ!!)
みすずはさっそく、封筒を開き、中に折りたたまれた便せんを取り出した。
みすずのやることは決まっていた。
手紙から情報のスキャニング。本日行われるであろう時刻、現場の把握。後背という生徒を尾行。本日繰り広げられるであろう恋のイベントの一部始終の観察。
「やはり、恋愛沙汰は読者の目を引きますからね~」
みすずは、舌なめずりをしながら、その便せんに目を通した。
「甘い! 甘い! こんな純情なラブレターは初めてです!!! これは大スクープになります!!」
読み終えたみすずはその場でガッツポーズした。
と、その瞬間、違和感に気づく。
「はい?」
みすずはきょとんとした。
みすずは、見たことのない教室の中にいた。
何度も目をしばたたく。
まったく状況が変化しない。
(今まで、間違いなく玄関前にいたはずなんですが……)
手を見ると、たった今まで持っていたはずのラブレターと封筒がなくなっていた。
他は何も変わっていない。
夏服のセーラー服、短くしたスカート、白いクルーソックスに上履き。ポケットの中には、メモ帳とペンがいつも通り入っている。
窓から差し込む太陽は赤く、夕日のように見えた。
頭を掻くみすず。
ふと、目線をずらした先に、半袖のポロシャツの上に、灰色のサマーベストを着たセミロングヘアの少女が立っていた。
「わわっ!? い、いつの間にいたんですか!」
少女は反応しない。
「その制服……、中学生、ですか?」
みすずは少女の足元に視線を落とし、いぶかしげに眉をひそめる。
少女は素足だった。
よく見ると、服装もだいぶ乱れている。
「あなた、ここで、何かあったんで――きゃぁああっ!!?」
近づこうとして、みすずは驚きのあまり尻餅をついてしまった。
目の前の少女には、顔がなかった。
みすずは危険を察知して逃げだそうとして後ずさりする。腰が抜けて、体が思うように動かない。
目の前の少女がゆっくりとみすずの元へ近づいてくる。
尻餅をついたまま後ずさりを続けたみすずの背中に、何かがぶつかった。冷や汗が出る。
首をゆっくりとねじり、上を見上げた。
真後ろに立った顔のない少女が、みすずを見下ろしていた。
「いやあぁああああああああああああ!!!!」
みすずは自分が絶叫をあげてから、どのくらいの時間が経ったのかわからなかった。
自分の身に何が起こっているのか?
自分はどこにいるのか?
自分は何をしているのか?
自分はこれから、どうなるのか?
ただただ笑い叫びながら、みすずは同じ疑問を何度も何度も頭の中で繰り返した。
「ひゃはははっははっはあははは!!? あっーっはっはっはははは、ひはあぁあはっはっはっはっは!!!」
みすずは、六人の少女に床に押さえつけられ、全身をくすぐられていた。
万歳をしたIの字の状態で、手首と足首を押さえつけられたみすずは、まったく身動きが取れない。
「あひああぁぁあははっははっはははは!!! やめてえぇぇえはははははは、やめてくださぃぃいいいっひひひひひっひひひひひひ!!!」
ぴんと引き伸ばされた腋やアバラに、数十本の指が突き刺さり蠢く。
「ひえぇえええはっはっはっは、はがあっぁぁっはっはっはっははっは!!! 死ぬぅぅぅっはっはっは、だやぁあぁあっはっはははははははは!!!」
みすずはあまりのくすぐったさに白目をむきながら叫んだ。
少女達のくすぐりによって引き起こされる笑いは、際限がなかった。
みすずの上履きとソックスは脱がされ、素足にされていた。
かかとを揃えて押さえつけられた素足の足の裏を、みすずの持っていたペンの先端でこりこりとくすぐられている。
「うほぉぉ~~はおあははっははっははっは!!!! はぎゃぁああぁはははははははは!!! やべぇえっ、やべでぇぇえぇぇぇっひぇひぇっひぇっひぇっひぇ~~っ!!!」
足の指がびくびくと激しく動く。
みすずには、自分の状況がまったく理解できない。
なぜくすぐられているのか?
なぜ笑わされているのか?
少女達の指から送られる刺激は、脳に直接響いてくる。
「あぎゃあぁぁぁはははははははは!!!! ぎひゃぁあぁぁあはははあはははは!!!!?」
わけもわからず、みすずは失禁した。
それでも少女達の指はとまらない。
みすずは、何の理解もできぬまま、ただひたすら笑わされ続けた。
♯1 ♯2 ♯3 ♯4 ♯5 ♯6 ♯7 ♯8 ♯9
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)
こんばんは。ertです。
晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
この子、原作だと完全な使い捨てキャラだったので、肉付けいたしました。
天然パーマの髪の毛はミディアムカットに切りそろえられ、頭にカチューシャを付けている。
(そうです! 面白いネタは日々の積み重ねから発見されるのです!)
みすずはその日も、メモ帳とペンを持って、学校中を練り歩いていた。
好奇心に満ちあふれた瞳をせわしなく動かし、いつもの風景に紛れ込んだネタ探しに励む。
二年生の下駄箱から匂いを感じた。
(いや! 靴の臭気ではなくてですね。私のマスコミセンサーにビビッときたわけですよ!)
みすずは、二年生の下駄箱を一つずつのぞき込んでいった。
「ビンゴっ!!!」
みすずは思わずその場で叫んだ。
二年生の『後背』という生徒の上履きの上に、薄水色の封筒が乗っている。
ハッとして周囲を見回した。
誰もいないことを確認してから、手にとってみる。
表に『後背卓也様』とある。
(うっひょー!!! これだから早朝巡回はやめられないっ!!)
みすずはさっそく、封筒を開き、中に折りたたまれた便せんを取り出した。
みすずのやることは決まっていた。
手紙から情報のスキャニング。本日行われるであろう時刻、現場の把握。後背という生徒を尾行。本日繰り広げられるであろう恋のイベントの一部始終の観察。
「やはり、恋愛沙汰は読者の目を引きますからね~」
みすずは、舌なめずりをしながら、その便せんに目を通した。
「甘い! 甘い! こんな純情なラブレターは初めてです!!! これは大スクープになります!!」
読み終えたみすずはその場でガッツポーズした。
と、その瞬間、違和感に気づく。
「はい?」
みすずはきょとんとした。
みすずは、見たことのない教室の中にいた。
何度も目をしばたたく。
まったく状況が変化しない。
(今まで、間違いなく玄関前にいたはずなんですが……)
手を見ると、たった今まで持っていたはずのラブレターと封筒がなくなっていた。
他は何も変わっていない。
夏服のセーラー服、短くしたスカート、白いクルーソックスに上履き。ポケットの中には、メモ帳とペンがいつも通り入っている。
窓から差し込む太陽は赤く、夕日のように見えた。
頭を掻くみすず。
ふと、目線をずらした先に、半袖のポロシャツの上に、灰色のサマーベストを着たセミロングヘアの少女が立っていた。
「わわっ!? い、いつの間にいたんですか!」
少女は反応しない。
「その制服……、中学生、ですか?」
みすずは少女の足元に視線を落とし、いぶかしげに眉をひそめる。
少女は素足だった。
よく見ると、服装もだいぶ乱れている。
「あなた、ここで、何かあったんで――きゃぁああっ!!?」
近づこうとして、みすずは驚きのあまり尻餅をついてしまった。
目の前の少女には、顔がなかった。
みすずは危険を察知して逃げだそうとして後ずさりする。腰が抜けて、体が思うように動かない。
目の前の少女がゆっくりとみすずの元へ近づいてくる。
尻餅をついたまま後ずさりを続けたみすずの背中に、何かがぶつかった。冷や汗が出る。
首をゆっくりとねじり、上を見上げた。
真後ろに立った顔のない少女が、みすずを見下ろしていた。
「いやあぁああああああああああああ!!!!」
みすずは自分が絶叫をあげてから、どのくらいの時間が経ったのかわからなかった。
自分の身に何が起こっているのか?
自分はどこにいるのか?
自分は何をしているのか?
自分はこれから、どうなるのか?
ただただ笑い叫びながら、みすずは同じ疑問を何度も何度も頭の中で繰り返した。
「ひゃはははっははっはあははは!!? あっーっはっはっはははは、ひはあぁあはっはっはっはっは!!!」
みすずは、六人の少女に床に押さえつけられ、全身をくすぐられていた。
万歳をしたIの字の状態で、手首と足首を押さえつけられたみすずは、まったく身動きが取れない。
「あひああぁぁあははっははっはははは!!! やめてえぇぇえはははははは、やめてくださぃぃいいいっひひひひひっひひひひひひ!!!」
ぴんと引き伸ばされた腋やアバラに、数十本の指が突き刺さり蠢く。
「ひえぇえええはっはっはっは、はがあっぁぁっはっはっはっははっは!!! 死ぬぅぅぅっはっはっは、だやぁあぁあっはっはははははははは!!!」
みすずはあまりのくすぐったさに白目をむきながら叫んだ。
少女達のくすぐりによって引き起こされる笑いは、際限がなかった。
みすずの上履きとソックスは脱がされ、素足にされていた。
かかとを揃えて押さえつけられた素足の足の裏を、みすずの持っていたペンの先端でこりこりとくすぐられている。
「うほぉぉ~~はおあははっははっははっは!!!! はぎゃぁああぁはははははははは!!! やべぇえっ、やべでぇぇえぇぇぇっひぇひぇっひぇっひぇっひぇ~~っ!!!」
足の指がびくびくと激しく動く。
みすずには、自分の状況がまったく理解できない。
なぜくすぐられているのか?
なぜ笑わされているのか?
少女達の指から送られる刺激は、脳に直接響いてくる。
「あぎゃあぁぁぁはははははははは!!!! ぎひゃぁあぁぁあはははあはははは!!!!?」
わけもわからず、みすずは失禁した。
それでも少女達の指はとまらない。
みすずは、何の理解もできぬまま、ただひたすら笑わされ続けた。
♯1 ♯2 ♯3 ♯4 ♯5 ♯6 ♯7 ♯8 ♯9
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(ここから作者コメント)
こんばんは。ertです。
晒そう企画の『ストーカー』を原作に、ホラー要素を含めてリメイクしました。
この子、原作だと完全な使い捨てキャラだったので、肉付けいたしました。