くすぐり作文晒し場

カワイイ女の子の靴下脱がしーの足の裏をコチョコチョしちゃう系小説投稿ブログ! 本番行為は一切無しなので、健全な18歳児でも安心してお楽しみいただけます!

学園

人魚の足のくすぐり方

 A高校の文化祭で、二年A組は出し物で演劇をすることになった。
 題材は『マーメイド物語』に決まったものの、ヒロインである人魚役を誰にするかでもめていた。
「人魚役は絶対ヒトミちゃんがいいと思う」
「ええっ? そ、その……無理だよ。私なんか……」
「大丈夫。ヒトミちゃん髪長いし、綺麗だし、かわいいし、絶対人魚の服に合うって」
「……でも、うぅぅ」
 いかにも嫌そうにしょぼくれた声を出す上野瞳(うえのひとみ)を必死に説得するのは、クラス委員の田中美月(たなかみづき)だった。
 ボーイッシュな短髪の彼女はテニス部キャプテン。
 仕切りたがりで声がでかいため、誰も逆らおうとしない。
 一方の瞳は、大人しい性格でクラスでもあまり目立たない。
 艶やかな黒髪ロングヘアと整った顔立ちは、完成されたドールを思わせるほど、魅力的なのだが、目立つことが嫌いで、いつも下を向き教室の隅でこそこそと縮こまっているため、その美しさに気付くものは少ない。
「上野さんが、ヒロイン?」
 はぁ? と高圧的な態度をとるのは鈴木花音(すずきかのん)。
 巻き毛をミディアムに切り揃え、自然に肩から下ろした彼女もまた美月と同じテニス部に所属していた。
 美月とはダブルスを組んでいる。
 中学時代からの腐れ縁で、現在クラスで美月に意見できる人間は花音しかいない。
「上野さん。声も小さいし、あんまりこういう目立つ役は向いてないんじゃない?」
 瞳はぱぁっと顔を明るくし、まっとうな意見をワンマン委員長に言ってくれる花音に憧憬の眼差しを向けた。
「花音、この子の顔よく見て」
 下を向いていた瞳の顔を、両側からぐいっと掴み、花音の前へ差し出す美月。
「ふぇっ!?」
「どう? かわいいでしょ? これでもヒロインに向いてないと言えるかしら?」
 瞳は、心の中で「鈴木さん、負けないで! 負けないで!」と必死に訴える。
 花音は、今にも泣き出しそうな瞳の顔を見て、
「……かわいいわね」
 瞳はがっくりと肩を落とした。

 練習が始まると、すぐに弊害が発生した。
「瞳ちゃん! 全然声出てないよ! 動きも、そんなにおどおどしないで! もっと優雅に!」
 美月の声に、びくっと肩を震わせる瞳。
「無、無理……」
 瞳は顔を赤らめながら身体を縮こまらせる。
 瞳はビキニ水着の上から、人魚の衣装をまとっただけの格好のため、上半身は裸に近かったのだ。
 しかも、人魚衣装の下では、両足がバラバラに動かないように足首を縛られているため、行動の制約も厳しい。
 そんな状態で、恥ずかしがりやの瞳が、優雅な演技などできるはずもなかった。
「仕方ないわね! 花音、あれやるわよ!」
「あれって何よ」
「ほら、中学のとき合唱コンクールの練習でやった奴! あれで皆声出るようになったでしょう!」
「え、上野さんにやるの?」
「当然! このままじゃ、ウチのクラス、文化祭で恥かいちゃうじゃない!」
「しょうがないなぁ」
 言うと、花音は瞳の傍に駆け寄る。
「上野さんごめんね。ちょっと仰向けになって」
「……ど、どうして?」
「早く横になりなさいっ!!」
 戸惑う瞳に、美月が大声で命令しながらずいずいと大またで近づいてくる。
「ひぃ」
 瞳は怯え、急いで仰向けに横たわる。
 花音は瞳の両腕を万歳の状態にさせて、その腕の上に座った。瞳の、完全には処理のなされていない腋の下が全開になる。
「えっ? やっ」
 瞳が上目遣いで、花音の顔を見ると、少しだけ申し訳なさそうな表情だった。
「あら? 瞳ちゃん。腋の下、うっすら毛、生えてるじゃない! そういうのは毎朝ちゃんと処理しないと!」
 美月は高らかに宣言しながら、瞳の上に跨り、腰を下ろす。
「うぅぅ……」
「今言わなくてもいいでしょうに……。一応ここ教室だよ?」

「さて、瞳ちゃんの羞恥心を払拭するわよ!」
「え」
 美月は言うと、瞳の素肌の脇腹を両手の人差し指でツンッとつついた。
「ひゃぁぁんっ!!?」
「お、なかなか敏感ね。優秀優秀」
 美月が楽しそうに言う。
「な、なに!? な、なに、するの?」
「こうするの!」
 美月は、瞳の腹を撫でるように人差し指を這わせた。
「あぁぁぁっ!! あぁぁんっ、あははっ、ははっ……ちょっ……んひぃぃ」
 瞳はくねくねと身体をよじった。
「お、おなかっ……ひゃはっ、おなか、……くすぐっ、……きゃはんっ!!?」
「くすぐったい? 瞳ちゃん? ねぇ? くすぐったい?」
「きゃはっ、んふふっ……な、上野さん、……ひひひ、なんでっ……やめてっ……」
 顔を赤らめ、歯を食いしばりながら悶える瞳を見て、美月はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべる。
 下半身のびちびちと上下に動く様子は、本物の魚のようだ。
「瞳ちゃん? 我慢しなくてもいいのよ? 大声でわらってみなさい? すっきりするから。こんな人だかりの前で大声で笑えば、羞恥心なんて吹っ飛ぶから」
 美月はそういうと、瞳の身体を弄ぶ指を、四本、六本、八本と徐々に増やしていった。
「きゃはんっ!! んんんっ、ひひひひひっ、あぁっ、やめっ、ひははっ、ひゃぁぁぁぁん」
 頭をぶんぶんと左右に振って顔をしかめる瞳。
「瞳ちゃんの肌真っ白ねぇ? ボディソープは何使ってるのかしら」
「ひぃぃっ、ひぃぃっ、ひぃぃぃんっ!!! んふふふふふっ、も、もうやめっ!!! ひひっ、ホントにっ! ホントにっ!!!」
 美月は、瞳のあばらからおなか辺りをさわさわと撫でまわす。瞳は相当苦しいようで、目には涙を浮かべていた。
「さぁ、笑いなさい? すぐ楽しくなるから――」
 一瞬、美月がくすぐる手を止めたことで、フッと瞳の身体の緊張が解けてしまう。
「――ねっ!」
 美月は瞳のがら空きの腋の下を一気に責め立てた。
 計十本の指でわしゃわしゃとむさぼるように。
「きゃっ、きゃっはっはっはっはっはっはっ!!! やはははははははっ!!! いやぁぁっはっはっはっはっはっはっは~~っ!!」
 瞳はタガが外れたように大笑いを始めた。
 口を大きく開け、綺麗な歯を見せつけながら。
「いぃぃぃひひひひひひひひひひっ!!!! やめてっ! やめてっ!! 田中さんっ!! あぁぁぁっはっはっはっはっ!!! 死んじゃうっ!! ひひひひひひひひひ~~!!」
 瞳が必死に制止を求めるが、美月は楽しそうに笑いながら、余計に瞳の腋の下を弄繰り回す。
「ほぉれ、ここがツボかなぁ? 瞳ちゃん、ほら! ちゃんと大きな声でるじゃない」
「きゃぁぁっはっはっはっはっは~~~っ!!! そ、そこっ!!? そこやめてっ! ひぃぃっひっひっひっひっひっ!! ぐりぐりっ!! しないでぇぇぇひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!」
 瞳はびったんびったん背中を打ちつけ、下半身を上下左右に振り乱しながら笑い悶える。
 両脚を覆う、人魚の尾ひれがビチビチと床を打ち付ける。まさに、まな板の上の鯉のような状態である。
「やっはっはっはっはっ!!! お願いっ!!! もうやめっ!!! たすけてぇぇぇっへっへへっへへっへへ!!! ひぃぃ~~ひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!」
「どう? 恥ずかしい?」
「恥ずかしいっ!!! 恥ずかしいよぉぉぉ~~~~やっはっはっはっはっはっは~~!!!」
「そう? じゃぁ、まだまだ続けないとね」
「いやぁぁぁっはっははっはっははっはっ!!! は、恥ずかしくないっ!!! 恥ずかしくないからぁぁぁっはっはっはっは~~!!」
 瞳は涙をまきちらしながら、必死に解答ミスを訂正する。
「もう遅いよ? これはもう、瞳ちゃんが恥ずかしいこと言えるようになるまでしっかり続けてあげないとねー」
「ひぃぃっひっひっひっひっ!!! 恥ずかしいことってぇぇ~~やっはっはっはっは!!?」
「じゃぁまず、瞳ちゃんの好きな人から言ってもらいましょうか?」
「いやぁぁぁっはっはっはっはっはっはっはっは~~~っ!!!」

 瞳は大声で笑い続けるが、口を割ろうとはしなかった。
 なかなか好きな人を言わない瞳にしびれを切らした美月は、体を反転させ瞳の脚を覆った尾ひれについたチャックを下から数センチ程度開く。
「たっ!? 田中さん?」
 瞳の呼びかけを無視して、美月はそろえて縛った瞳の両足をひっぱりだす。
「やっ……そ、そこはやめ――」
 引っ張り出された瞳の素足の足の裏を、美月はがりがりと勢い欲引っかき始めた。
「――っ、いぃぁぁあはっはっはっはっはっはっ!!! ひゃっ、やめてぇぇぇ~~っはっはっはっはっはっはっはっ!!!」
 瞳は途端に大声を上げる。
「やっぱり瞳ちゃん、こっちが弱点だったのね!」
「きゃぁぁぁああひひひひひひひひひっ!! 駄目っ、駄目ぇぇぇっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!」
 Iの字にピンと体を伸ばされて拘束された瞳は、左右に激しく身をよじって笑う。
「瞳ちゃん。好きな人は?」
 美月は瞳の足の指と指の間に指をつっこむ。
「きゃぁぁぁっははっははははははっ!!! それ駄目っ、はっはっはっは、駄目だってばぁぁ~~っははっはっはっはっはっはっは!!!」
「強情なんだから! 花音も! やっちゃって」
「上野さん。悪いわね。委員長命令だから」
 言うと花音は、瞳のがら空きの両腋の下に、指を這わせ始めた。
「くわぁぁははっははっはははっ!!!? やだっ!!! うひゃひゃひゃ、同時はやだぁぁぁああひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!」
 腋の下と足の裏を同時にくすぐられ、瞳は狂ったような声を上げた。
「さあ、瞳ちゃんの羞恥心が完全になくなるまで、がんばるわよ!」
「嫌ぁあぁああぁっはっは!!! もうっ、ふがっひゃっひゃっひゃ! なぁぁっはっはっは!!? 何でも言うからやめてぇっぇ~~~っひゃっひゃっひゃっひゃ!!!」

 こうして瞳は、教室のど真ん中で、一時間近く笑い叫ばされた。
 好きな人、初めての自慰行為、隠れた性癖、……次々とくすぐり尋問責めされた瞳が、無事羞恥心を払拭して文化祭のヒロインとして活躍できたかどうかは、……また別のお話。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 2012年ごろチャットルームでお題が出て書いたものを蔵出し。『人魚』という私にとってはまるでイヤがらせのようなお題を出され、いかにして足をくすぐろうか頭を抱えた記憶があります^p^


愛する人がくすぐりの虜に堕とされた

「私を、くすぐってくれない?」

 突然、恋人の優樹菜(ゆきな)にそんなことを言われて、僕は戸惑った。
 僕と彼女はベッドの上。約一ヶ月ぶりのセ○クスをしようと息巻いていた矢先であった。
 キスを終えたばかりで、彼女は唇をぺろりと舐めた。口に入りそうになったミディアムロングの髪の毛を掻き上げる姿。以前から知っている彼女と変わらない気がした。
 僕が黙っているのを不審に思ったのか、優樹菜は「なによぅ」とはにかんで、もう一度「くすぐってくれない?」と言った。聞き間違いではなかった。
 窓の外からアブラゼミの鳴き声が聞こえてくる。八月の末だった。

 優樹菜とは幼馴染みで、学園入学を機に付き合い始めた。今年で二年目になる。
 内気で恥ずかしがり屋な彼女とはじめて交わりを持ったのは一年生の体育祭の後だった。それからはだいたい月二ぐらいのペースで関係を持ち続けていたが、夏の彼女は部活で忙しく、しばらく一緒にいる時間を取れなかったのだ。
 彼女は吹奏楽部に所属している。七月には合宿、次いで八月上旬の地方大会と連日彼女は忙しそうにしていた。
 地方大会は市民ホールで行われた。当然僕も応援に駆けつけた。舞台上でライトを浴びる彼女の表情は昨年よりも晴れやかに見えた。少しだけ遠くに見え、しかし同時に誇らしく感じられた。音楽のことはよくわからなかったが、彼女がクラリネットをぐるぐると動かしながら奏する様を凝視しながら「がんばれ」と念じ続けた。
 結果は昨年と同じ地方大会落ちだった。昨年彼女がかなり落ち込んでいたのを思い出して心配になったが、彼女は意外にも「来年は絶対カラキン脱出するから!」と前向きだった。彼女は強くなっていた。

 大会の打ち上げ、先輩の引退送別会、溜まった宿題の整理と、怒濤の八月を乗り切った優樹菜は、ようやくこうして僕と過ごす時間を作ってくれた。
 僕は彼女を束縛するつもりなんて無い。恋人同士だからこそ、お互いの都合を尊重しあう関係でありたいと思っている。
 けれどもやっぱり、一ヶ月ものセ○クスレスは思春期の男子にはこたえた。
 八月に入ってからは、毎晩のように彼女のことを思ってマスターベーションに励んだ。
 今日だって、彼女の姿を玄関で見た途端に勃起してしまうほどだった。
 それなのに……。

「えっと……くすぐるって、どういうこと?」
 僕はセ○クスがしたかった。

「うーんと……、こちょこちょ皮膚を触って笑いたくなるような衝動を引き起こすこと、かな」
 優樹菜は人差し指を顎に当てて、思いを巡らせるように言った。

「いや、語意を聞いたんじゃなくて……そのぅ――」

「あ、セ○クスは今日はいっかな♪」
 優樹菜はすぐに、僕が語尾を濁したところを察してくれたようだ。
「……というか、もうセ○クスはいいんだよね。これからリューヘーには、たーっくさん、くすぐってもらいたいなぁ」
 続けて、にっこりと笑った。

 僕は困惑を隠せない。
 彼女の口から「セ○クス」という言葉がさらりと出てきた。
 前はもじもじと顔を赤らめて、隠語を使っていたはずなのに……。

「さぁ!」と、ベッドの上に仰向けになって、両腕を広げる優樹菜。
 ノースリーブを着ているため、綺麗な腋がガラ空きだ。
 ミニスカートから伸びる白い素足。今日はサンダルできていた。
 そこで気づく。去年の夏はこんな露出の多い服、着ていなかった。
 僕はごくりと唾を飲み込み、彼女の顔を見た。期待に満ちたまなざしを僕へ向けてくる。ベッドの上ではいつも「恥ずかしいから」と消灯を要求していたはずの優樹菜……。不気味だった。

「優樹菜、……あの、……どうしたの?」

「ん? 何が?」

「え、何がって……。なんか、今日の優樹菜、おかしくない?」

「そう?」
 優樹菜はとぼけたように首を傾げた。

「そうだよ……。そんな短いスカート、初めて見たし。……それに、優樹菜、他人の家に上がるときは靴下穿いてないと落ち着かなかったんじゃ……?」

「こっちの方がくすぐりやすいと思って」

「くすぐりやすい……?」

 なんども彼女の口から出てくる「くすぐり」という単語。
 僕にとってはあまり馴染みがなく、妙なプレイを要求されているような気がして、不安だった。
 思わず眉間に皺を寄せてしまった。

 すると、優樹菜は少し悲しそうに眉を寄せた。
「リューヘー、……もしかして、私のこと、嫌いになっちゃった? しばらく会えなかったから」

「そ、そんなことないよ!」
 慌てて僕は否定した。
 彼女はホッとしたように、
「よかった……。じゃあ、私のこと、くすぐってくれる?」

 僕は彼女の上目遣いに負けた。
 ゆっくりと彼女の腰をまたいで、馬乗りになった。「キャー」と優樹菜が嬉しそうに悲鳴を上げた。くすぐって欲しくてうずうずしている……。そんな表情。

 本当に、優樹菜、どうしちゃったの……?

 僕は疑問に思いながら、そっと彼女の腋の下へ指を伸ばした。

「んふっ……」

 少しだけ汗をかいた腋の皮膚に触れた瞬間、彼女の口から笑いが漏れた。
 僕はびっくりして手を引っ込めてしまった。

「あぁん! やめないでよぉ」

 残念がる彼女の瞳は潤んでいた。とろんとして、頬が紅潮してる。
 彼女に急かされ、もう一度指を伸ばす。再び彼女の生温かい皮膚に触れた。

「ぷふっ……んふっくふふ」

 指を小刻みに動かして見ると、彼女はくすぐったそうに身をよじった。
 腋を大きく広げたまま、ぷるぷると腕が震えていた。

「んはっ……ふひひっ……リューヘー、もっと、くふふ、強くやって、いいからぁ♥」

 優樹菜は艶めかしい声で言った。
 僕には加減がよく分からなかった。

 指先の動きをもう少し速めてみた。

「んひひひっ……んはぁぁ、そうじゃなくって……、くふふ♥」
 彼女は首を窄めてクスクス笑いながら、僕に要求してくる。
「くふっ……指先で皮膚の表面をなでるんじゃなくって……もっと、奥の骨をぐりぐりっ……って押し込むようなかんじでぇ♥」

 僕は彼女に言われるままに、強めに指を押し込んだ。

「あひゃぁぁん」

 彼女は嬌声を上げ、びくっと体を震わせた。
 柔らかい皮膚の内側に、ごりっと骨の感触があった。

「そそそそっ! そんな感じっ……ふひひひっ♥ もっとぉ! あっ、あっ、爪は立てないで……指の腹で、ぎゅーって押しつけてぇ、んふっ♥ それで、骨と皮膚の間をぐりぐりずらせる感じでぇ」

 僕は言われた通り、人差し指に力を込めた。
 本当に、皮膚と骨がずるりとずれるような奇妙な感覚があった。

「きゃははははっ!?」

 優樹菜が急に笑い声を上げた。
 僕はびっくりした。

「あはっ……、は、やめないでっ! その調子っ! それを繰り返してぇぇえぁはははははははははははははっ!!!」

 僕は言いなりだった。

「きゃっはっはっはっはそれぇぇええ~~♥ あはっはっはっは、そうそうっ、やめないでぇぇええっ! あははははははははははははは!!!」

 僕の指の動きに合わせて、彼女が激しく笑っている。
 こんな風にはしたなく大口を開けて笑う優樹菜の姿をはじめて見た。
 腋の下は次第に汗で湿ってくる。
 彼女は苦しそうに首を左右に振っているのに、決して腋を閉じようとしなかった。

「……んふっ。ぷはぁっ! さっ、次は足の裏だね」
 しばらく腋をくすぐった後で、優樹菜が言ってきた。満足げに頬を緩めている。優樹菜のこんな幸せそうな笑顔、今までに見たことがなかった。
 彼女に言われるまま僕はベッドに腰掛けた。
 膝の上に、優樹菜の素足が置かれた。彼女はぺたんと枕の傍に尻餅をついて座り、右足を投げ出していた。

「リューヘーならきっと足の方が簡単にマスターできると思うよ!」

 そんな励ましを掛けてくれる優樹菜。
 彼女の白い足。小さな足の指がぴくぴくと期待するようにもがいている。

「ちょっと爪を立てて、引っ掻くような感じでやってみて」

 彼女は足の指を広げて、僕に見せてきた。
 僕の手よりも小さな彼女の足。

 僕は「引っ掻く」という感じを強くイメージしながら、彼女の足の裏へ爪を立てた。

「くひっ!? きゃひあははははははははははははっ!!? あはぁぁぁぁっはっはっはっはっはっはっは、最高ぉぉうひひひひひひひひ♥」

 彼女は両手をじたばたと動かし、笑い出した。
 上半身をよじって笑う姿は、本当に苦しそうだ。

 爪が足の皮膚をこする、シャリシャリという音が響いた。

 足の指が、びくびくとくすぐったそうにもがく。
 平らな足の裏に皺が寄って、硬くなっていた。

「あははははははははっ!!! そそそっ!!! 足の指が邪魔ならっ!! 掴んで反らしちゃってぇぇぇええっはっはっはっはっはっは!!!」

 彼女はがくんがくんと首を揺らしながら叫んだ。
 顔を真っ赤にして、目に涙を浮かべてまで言うことなのか……。

 僕は彼女の足の人差し指を掴んで、後ろ側へ反らした。人差し指が長かったので掴みやすかったのだ。

 皺の寄っていた足の裏が、ぴんと伸びきる。
 そこへ爪を立てて、「引っ掻く」イメージでくすぐる。

「ひあぁぁあぁあっはっはっはっはっはっはっはっは♥ んはぁぁぁあははははははははは!!!」

 優樹菜の声がかん高くなった。
 掴んだ足の指に力が入っている。
 そこを頑張って押さえつけ、彼女の要求するままにくすぐり続けた。

「あぁぁあぁぁ~~っはっはっはっはっはっは!! ひぃっぃ~~っひっひっひっひ、リューヘーぇぇぇへへへ♥ 大好きだよぉぉぉひゃははははははは~~!」

 彼女は口元に泡を浮かべて大笑いしながら、そんなことを言う。
 恥じらいながら小さな声で「リューヘー。……好きだよ」と呟く彼女の面影はなかった。

 その日は、結局最後の最後まで、セ○クスはさせてもらえなかった。終始、積極的な彼女に押されて、僕は言われるがままにくすぐっただけ……。
「少しずつ、慣れていけばいいからね♪ きっとすぐ上手くなるよ!」
 別れ際には、優樹菜にダメ出しまでされた。
 僕は、久しぶりで楽しみにしていたはずの彼女とのデートに、欲求不満が残った。
 変わってしまった優樹菜に対する戸惑いによるものなのか、特殊なプレイに対する戸惑いによるものなのか、原因はわからない。
 それでも優樹菜のことが好きだった。
 
 優樹菜にいったい何が起こったのか? 何が優樹菜を変えてしまったのか?


 氷解したのは、数週間後、新学期が始まってしばらく経った頃だった。
『くすぐり研究会』
 廊下で貼り紙を見つけて驚いた。そんな同好会が学校内にあるなんて知らなかった。今まで「くすぐり」という単語を意識していなかったから、気づかなかったのかもしれない。
 活動場所に行ってみると、思いのほか歓迎された。
「同志よ。新作DVDがあるのでゲスよ。ほら! 例のあれでゲス! 第20弾が出たんでゲスよ!」
 異常なほどキャラの濃い男に、DVDのパッケージを見せられ、購入を勧められた。同じような研究会が学校外にもあって、オリジナルのくすぐりDVDを作り、売り買いしているらしい。僕の知らない世界だった。
 キャラの濃い男の押し売りは鬱陶しかったが、パッケージ裏の説明書きを一目見て、購入を決意した。
 確かめなければならないと思ったのだ。

『夏だ! 合宿だ!』
『大会に向けて避暑地へ集中練習にやってきた吹奏楽部の面々』
『ガンバル女子部員達を、くすぐり師のテクニックで堕としちゃおう!』

 煽り文句に心臓がバクバクと高鳴っていた。
 家に帰って、DVDをセットする。
 チャプター数がざっと20はあった。全部合わせて5時間弱。とにかく詰められるだけ詰めたという感じ。画質は望めないだろう。
 チャプターのタイトルはすべて女性のファーストネームだった。『チャプター13:ユキナ』という項目を見つけた瞬間、僕の心臓は裂けそうになった。嫌な予感は最高潮に達した。

 ユキナ。……優樹菜。

 僕は震える指で、再生した。

 真っ暗な画面が静かに晴れてゆく。
 僕は目を背けたいのを必死にこらえた。

 薄暗い部屋だ。
 中央に手術台のような台があって、その上にうちの学校の制服を着た女の子が仰向けに寝ている。
 両手両足をまっすぐ上下に伸ばしていた。
 どうやら手首と足首をそれぞれロープで縛られているようだ。
 校則通りの丈のチェックのスカート。半袖シャツはきちんと第一ボタンまで閉じて、ネックリボンも綺麗に締めている。白いハイソックスは几帳面にも左右の長さが揃えられていて……。

 優樹菜だった。

 怯えた表情。
 そこへ、見知らぬ若い男が現れた。

『優樹菜ちゃんは、彼氏がいるんだってね』

 僕は、見ず知らずの男の発する『優樹菜ちゃん』という呼び名に、嫌悪感を抱いた。

『彼氏のこと、好き?』

『……は、はい』

 素直に頷いてしまうところが優樹菜らしい。
 が、僕には、知らない男と受け答えする優樹菜にまで、理不尽な嫉妬心を抱いてしまう。
 すぐにでもDVDを停止したい欲求と、このまま顛末を見届けなければならないという義務感が交錯する。

『セ○クスはやってるの?』

『……ぃっ』
 男の質問に、優樹菜の顔がボッと赤くなった。恥ずかしそうに、伏し目になる。僕の知っている優樹菜の表情……。
 僕は、男に殺意を抱いた。

 それでも、停止ボタンが押せなかった。

『そうか。お盛んなんだね。……それなら、セ○クスよりも楽しいこと、教えてあげるよ』
 男が優樹菜に近づいていく。

 優樹菜の顔が恐怖に引きつった。
 ぎしぎしとロープを鳴らし、体を左右によじっている。
 嫌悪感に歪んだ、愛する人の顔……。

 僕は、目が離せなかった。

 男は両手の人差し指を、優樹菜の腋の下へ当てた。

『……んゃっ!?』
 漏れ出る優樹菜の色っぽい声。僕は怒りと悔しさの交じった感情に駆られて唇を噛んだ。

『んふっ……ひっ、ひ、やっ、やめ、て、くださいぃっ……』

 男が指を上下にゆっくりと動かすと、優樹菜はくねくねと身をよじった。
 顔は真っ赤で、息が荒い。

『敏感なんだね。じゃあ、本番いくよ?』
 男はそう言うと、両手の指を広げて、一気に彼女のアバラへ振り下ろした。

『あぁあああああああああっ!!』

 かん高い悲鳴。びくんと優樹菜の体が弾けた。

 そして、男が両手の指をぐりぐりと動かしはじめる。

『ぷはっ!? はっ……ははっ、あははははははははっ!!? やっ、いやっ……! きゃははははははははっ!!』

 すると途端に、優樹菜は口をぱかっと開けて笑い出した。
 笑いをこらえようとしているのか口を閉じる。が、すぐに弾けるように笑い出してしまう。

 男の指が、ぐりぐりと優樹菜のアバラ、胸の下あたりの体側をしごくように動き回った。

『きゃははははははははははははっ!!! やめへっ……ああぁぁ~~っはっはっはっはっはっはっはっはっは!!』

 優樹菜は激しく笑っていた。
 歪んだ眉、眉間に寄った皺、目元に浮かんだ涙。
 彼女は首を左右に振って、必死に拒否を示している。

『優樹菜ちゃん。どうだい? 楽しいかい?』

『いやぁぁあっはっはっはっはっはっはっは、……楽しくないっ!! 楽しくないれすぅぅうううっはっはっはっはっはっはっはっは~~!!』

 優樹菜が、そんなことを叫ばされている。
 苦痛に歪んだ彼女の笑顔。
 男はせせら笑いながらくすぐり続けている。

『そうやって笑っているうちにだんだん癖になってくるからね』

『やぁぁぁあっはっはっはっはっはっは!!? ……たすけっ、助けてぇえぇえぇっへっへっへっへっへっへっへ!!』

 優樹菜が涙を流して助けを求めている。
 それなのに、僕にはどうすることもできない。

 目の前で、恋人が知らない男にくすぐられて大笑いさせられている。
 そんな異常な光景……。

 僕は画面に見入っていた。
 優樹菜の激しい笑い声に聞き入っていた。
 ふと、頬を伝うぬるい感触。いつのまにか僕は、泣いていた。
 悔しくてたまらなかった。
 僕は、激しく勃起していた。

「なんで……っ、どうして……っ」
 僕は嗚咽を漏らした。問いは自分自身に向けられたものだ。
 どうして僕は、恋人が苦しむ姿を見て、興奮しているのか。

 画面の男は、優樹菜の足元へ移動していた。
 数分間くすぐられた優樹菜は、笑い疲れたのか、肩で息をしている。

 男は、優樹菜のハイソックスに手を掛けた。

『や、だ……やめへぇ』
 呂律の回らない優樹菜の声。顔が火照って、目の焦点が定まっていない。
 セ○クスの時だって、こんなとろけた表情、見たことなかった。
 僕は、優樹菜をこんな風にした男に対する怒りや嫌悪感と一緒に、強烈な興奮を抱く。

 ぺりぺりとソックス糊の剥がれる音。
 引っ張られて伸びる白いソックス。ロープにつかえているところを、男は無理に引っ張っている。
 すぽん、とソックスは脱がし取られた。
 露わになった優樹菜の素足。優樹菜はきゅっと足の指を閉じた。

 男は優樹菜の足の指を掴んで反らせた。
 そうして人差し指と中指をかぎ爪のような形に構え、彼女の足の裏をくすぐりはじめる。

『ひぁっ!!? ひあぁあああっひひひひひひひひひひひっ!!? いやぁぁああははひははっはっはっはっはっはっは!!! もうやめてぇぇええひはははははははは!!!』

 途端に優樹菜はかん高い笑い声を上げた。
 彼女の顔は、もう涙と涎でぐしゃぐしゃだった。

「ひぁあぁああっはっはっはっはっはっはっはっは!? あがぁああはひひひひひひひひひひ~~!!!」

 次第に優樹菜の笑い声がおかしくなってくる。表情もだんだんと、だらしなく緩んでいくように見えた。
 男は五本の指を使って、彼女の土踏まずのあたりを引っ掻いていた。

『くひひひひひひひひひひひっ!!! うひゃひゃっ、あひゃぁぁぁあっはっはっはっっはっははは♥』

 優樹菜が、明らかに嬌声と思えるような声を上げたのは、さらに2分程度経った頃だった。

『どうかな、優樹菜ちゃん? そろそろ楽しくなってきたんじゃないかな?』
 男がガリガリと優樹菜の足の皮を引っ掻きながら言った。

『ぐひひひひっひひいっひっひっひっひっ!!! いぃぃぃ~~~っひっひっひっひっひっひぎぃぃ♥』

 優樹菜は、目を見開いて笑い続けていた。
 ぶくぶくと泡を吹いて首を左右に振り続ける。

 そのとき、男の手が止まる。

『ひゃっ……あぁぁあああぁっ』

 途端に優樹菜の体はのけぞり、ぴくぴくと痙攣しはじめた。『ひぁっ……ひぁあぁ……』と彼女の口からは笑い声が漏れ続ける。目をぎゅっと閉じて、歯をがちがちと鳴らす。必死に衝動をこらえているように見えた。

 そこで再び、男が彼女の足をくすぐりはじめた。
 今度は両足の裏を激しく掻きむしるように。

『ふがぁぁああひゃひゃひゃひゃひゃっ♥ あひゃぁぁぁあんんひひひひひひひひひひひひひひひひひひぃぃぃ~~!!!』

 優樹菜はカッと目を見開き、舌を出して笑いはじめた。
 その瞬間、彼女の中で何かが折れた。……そんな気がした。

『どうする? 優樹菜ちゃん。最後までやって欲しいんじゃないかな? それとも、ここでやめてもいいのかなぁ?』

『やっ、あ、あ、あ、あ、あひぁぁあっははっはははははは!!? くははははははははっ!!! ……や、やめないでっ、ひっひっひひっひっひ! あひゃぁぁああああ~~♥ もっとひひひひひひひひひひっ!! さいごまでぇえぇっへっへっっへっへ!!!』

 優樹菜は激しく笑いながら叫んだ。

『彼氏のセ○クスより気持ちいいだろう?』

『はいぃぃいいっひっひっひっひっひっひっひ!!! 気持ちいいれしゅぅううううっひっひっひっひっひっひっひぃぃい♥』

 即答だった。

『自分の言葉ではっきり言うんだ。じゃなきゃ、やめちゃうよ?』

『ひぃぃいいいっひっひっひっひ♥ リュぅヘのセ○クスより気持ちいいぃいいいいっひひひっひっひっひ!!! もっとおぉおひゃひゃひゃ♥ もっとくすぐってぇぇえひゃっはっはっはっはっはっはっはっはは~~!!!』

『よくできたね、優樹菜ちゃん。ご褒美だ』

『ひやぁぁああああひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!? うひゃひゃひゃひゃひゃひゃ♥ はにゃぁぁあああ~~』

 僕は、泣きながら射精した。
 画面の中では、優樹菜が笑いながら失禁していた。

 たった15分程度の『チャプター13:ユキナ』。
 見終えた僕は、情けなくも、すぐにもう一度見直して、マスターベーションをした。

 愛する人は、知らないうちに、知らない男に、くすぐりの虜に変えられてしまっていた。

 八月末の様子から、優樹菜がその後も男と関係を持ち続けていることは容易に想像がついた。
 たくさんくすぐられて、たくさん笑わされて、性格まで変えられてしまったのだろう。

 変えられてしまった彼女。

 それでも僕は、彼女が好きだった。
 それでも彼女は、まだ僕を好きでいてくれていた。

 優樹菜と出会って十数年、はじめて危機感を抱いた。
 昔から当たり前のように僕の傍にいた彼女は、いついなくなってもおかしくない存在だった。
 僕は「束縛しない」「互いを尊重」という言い訳を作って、彼女との関係をつなぎ止める努力を怠っていた。僕は、いままで、自分のためにセ○クスをしていたのだ。思い出してみれば行為の最中、彼女の口から「気持ちいい」と言われたことはなかった。見よう見まねのセ○クスでは、彼女を満足させてあげられていなかったのに、それすら気づけなかった。

 彼女はいまや、くすぐりの虜……。

 僕は決意した。
 せっかく買ったDVD。全チャプターをなんども見返して、男のくすぐり技を研究しよう。

 愛する人を寝取られないように……、違う、……愛する人をくすぐり取られないように。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 NTRならぬKTRというジャンルはいかがでしょう?
 2016年4月に、ブログ引っ越しのお知らせを兼ねてピクシブにアップロードしたものです。8月末のタイミングに合わせてブログで上げ直したかった。

優樹菜の表紙










教室の後ろから

「なんでアズサ靴下穿いてないの?」
「え? 暑いじゃん」
「いや、暑いけども。汚くない?」
「なんで?」

 ある夏の午後。
 教室の後ろからそんな会話が聞こえてきて、興奮した。二人の女子生徒が机にもたれかかって話している。片方の女子はきちんとつま先まで制服を着ていた。が、もう片方の女子は、上はきちんと制服なのに、足元は靴下を穿かず素足で上履きを履いていた。
 その日は一段と蒸し暑かった。

「いやいや……だって、それ、上履き。素足で履いてるし」
「ん? だから暑いからじゃん」
「あ、うん……、いいや」

 会話がかみ合っていなくて面白かった。

「カナも脱いだら?」

 素足で上履きを履いているアズサが、きちんと靴下を穿いているカナに向かってそんなことを言った。

「えー。やだよ」

 カナはマジで引いている。

「そんなこと言わずに脱ごうよぉ~」
 そう言いながら、アズサはカナにもたれかかった。

「だからやだって……こらっ! まとわりつくな! ――ってきもいきもいきもいぃぃひゃひゃひゃひゃっ!?」

 アズサは、カナに抱きついて脇腹をくすぐっていた。
 カナは身をよじって笑っている。

「やめぁあっはっはっはっはっは……あだぁぁあ!?」

 二人はもつれ合って、床に倒れこんだ。

「アズサ……あんたいい加減に……、こら! 重いって! おりろぉ~」

 アズサがうつぶせになったカナのお尻に馬乗りになっていた。
 アズサはにやにやとイタズラっぽく笑うと、
「へっへ~、脱がしちゃうもんねぇ」
「あっ、こら、やめろ~」
 身動きの取れないカナの足から、上履きを脱がし取り、靴下まで脱がし取った。

 そして、アズサは何を思ったのか、カナの足の裏をくすぐりはじめたのだ。

「うひゃひゃひゃひゃひゃっ!!? なにっ!? やめあぁぁぁぁははっはあはははははははははは!!!」

 アズサは天井を向いた足の裏を、ガリガリと掻きむしっていた。
 カナは、上半身をびたんびたんと床に打ち付けて笑っている。

「カナも靴下脱ぐ?」
 くすぐりながらアズサが問う。

「脱ぐからぁぁあっはっはっはっはっはっは!」
 カナは、涙を流して笑っていた。

 その日以降、カナは素足に上履きを履いていた。


(完)


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 仰向けになった子の膝とか尻の上にのっかって、足の裏をガリガリするシチュは割と好きです。







 

なれるっ! くすぐりストーカー! ♯7

 西原まゆは拍子抜けするほど簡単に、罠にかかってくれました。
 私は河合みすずになりすまし、西原まゆに旧校舎へ来るようメッセージを送ったのです。
 河合みすずと西原まゆのやりとりをいくつか見たので、口調は完全コピーできていたと思います。

「……っ」

 目覚めた西原まゆはきょろきょろあたりを見渡します。
 足枷から突きだした二本のソックスを穿いた足。上靴は予め脱がしておきました。
 ソックスはおろしたてだったのか、まったく汚れが見当たりません。

「西原さん。卓也君の彼女になりたい?」

 私の質問に、彼女は首を傾げました。綺麗なさらさらのロングヘアが流れるように揺れます。今日も、昨日のように丁寧に髪の毛を梳かしてもらったのでしょうか。

「……誰ですか?」

 とぼけちゃって……。

「私の責めにも耐えられなきゃ、卓也君の彼女はつとまらないってこと、教えてあげる」

「……えっと?」

 ポカンとする西原まゆのソックスを掴み、力任せに引っ張りました。「やっ」と彼女は軽く声を上げます。
 すぽんと、露わになった彼女の足は、人形のように真っ白でした。恥ずかしそうにきゅっと指が縮こまりました。皺の寄った土踏まずは私よりも平らでした。

 私は彼女に、櫛を見せつけます。彼女のポケットに入っていた物です。

「……えっ?」

 何をされるのかまったくわからないという表情。
 私は、はじめて卓也君に櫛を見せつけられたときの高揚感を、思い出していました。

 このようなプラスチックの櫛は、足の裏をくすぐるのに最適です。
 特に彼女のような凹凸のない扁平足ならば、全面をまんべんなくくすぐることができるのです。

「ふひゃははははははははははっ!!? ひぃぃいぃいぃっひっひっひっひっひっひ!! にゃめてぇぇええいひひひひひひひひひひひひひひ!!!」

 表情の乏しかった西原まゆが、大口を開け、綺麗に梳かされていた髪の毛を乱暴に振り乱して笑っています。

 それほどの刺激なのです。……
 私は、櫛でしゃりしゃりと彼女の素足を掻き鳴らしながら、あの強烈なくすぐったさを思い出していました。

「ぐひひひひひひひひひ!!? むでぃいいいいむでぃいいいっひっひっひっひっひっひっひっひはひゃぁぁぁ~~!!?」

 西原まゆの人形のような顔は、無様に歪んでいます。
 涙を流し、鼻水を噴き出し、歯茎をむき出しにして笑う彼女。
 きっと、卓也君にくすぐられた私もこんな顔をしていたのでしょう。

「やべへぇぇええひひひひっひひひひひ!!!? あひがむでぃぃぃいいっひっひひいっひひっひっひ!!!」

 彼女の笑い声を聞く度に、私の記憶は鮮明になりました。
 笑う私。くすぐる卓也君。
 卓也君は、いつも櫛で私の足をくすぐっていたときどうしていたか。

 私は、彼女の足の指を掴んで反らし、突っ張った土踏まずを思い切り櫛でしごきます。

「はぐあぁあぁぁあっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!? ひえぇぇぇ~~っひぇっひぇっひぇっひぇ、ふががぁぁああ!!!?」

 くすぐっていない方の足の指まで、くすぐったさの余り、びくびくと激しく痙攣しています。

 私は、櫛の歯が折れるまで、彼女の足の裏をくすぐり続けました。

 くすぐり終えた西原まゆの足の裏は真っ赤になっていました。

 彼女は口角を吊り上げた表情のまま「げひゃ……げひ……っ」と汚い声を漏らして、目を回しています。

 私の股間は濡れていました。
 彼にくすぐられた後のような気持ちでした。

 嫉妬は、快感に変わっていました。

 喪失感は、もうありません。

 私は、卓也君が傍にいなくても、卓也君にくすぐられる方法を見つけたのです。


(完)


♯1 ♯2 ♯3 ♯4 ♯5 ♯6 ♯7


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画『ストーカー』の二次創作です。









なれるっ! くすぐりストーカー! ♯6

 翌日の昼休み。早めの時間に中庭に行くと、すでに河合みすずが歯を磨いていました。
 どういう食材をどんなスピードで食べればこの時間に歯磨きができるのか想像できません。

 昼休みの早い時間で、生徒達の大勢はまだ食事中。
 誰もいないことを確認して、私は足を忍ばせて彼女に近づきました。

 簡単でした。

「ん……」

 河合みすずが目を覚ましました。
 細野泉の時同様、気絶させて台車で運び、拘束を終えていました。

「わわっ!? なんですかコレ? ……え、あなた、誰ですか?」

 河合みすずは、きょろきょろと首を左右に振ったり、足をガタガタ動かしたり、落ち着きがありません。

「河合さん。卓也君の彼女になりたいのなら、私の責めにも耐えないとだめよ?」

「はいっ!? 卓也君って誰ですか――って!! 何するんですかっ!!?」

 私は河合みすずの両足から白いソックスを脱がしました。
 タコや豆があって、ちょっと汚い素足でした。爪の手入れもあまりされていなくて、垢がたまっているのが丸わかりです。

 私は、さっきまで彼女がくわえていた歯ブラシを見せつけました。
 唾液がまだ乾いていなくて、歯先がすこしテカっています。

「……な、なにする、つもりなんですか?」

 私は、彼女の怯えたような表情を見て、彼にはじめてくすぐられた日のことを思い出しました。

 歯磨きは3分間やるべきだとか5分間やるべきだとか、いろんな説がありますが、足の指は何分間が順当なのでしょうか。

「ひぎぃいいひひひひひひひひひひっ!!!? ぐひひひひひひやべでぇぇぇえあがやぁぁぁあひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!」

 ぐしぐしごしごし。
 河合みすずの足指の股を歯ブラシで磨いています。

 彼女は舌を出し、ずぶずぶと鼻水の垂らして笑っています。
 激しく上下左右に首を振り回す姿は、まだ刺激になれていなかった頃の私と重なりました。

「ぎひゃひゃひゃひゃひゃなんでぇぇぇええぃぃっっひっひっひ!!? ごんにゃごどやでなんになるんでずがぁぁああっはっはっはっはっはっは~~!!?」

 泣いたり笑ったりしながらなので何を言っているのかさっぱりわかりません。

 彼女の小指を持って股を広げ、歯先を指の付け根へ押しつけてこすり上げます。
 自分の使っていた歯ブラシで足を磨かれる気分はどんなものなんでしょう。私は経験が無いのでわかりません。
 新品のように綺麗だった歯ブラシは、もう歯先が開いてしまい、すき間に足の皮が白いふけのように挟まっています。

「ひぎゃはははははははははははっ!!? あひがぁぁぁああぁぁ!! あひがひぬぅぅぅううううひひひいひひひひひひひひひひひひひ!!!」

 シャカシャカと歯ブラシの音が響き渡りました。
 しばらくして気を失った彼女の顔は涙と涎でぐちゃぐちゃになって、ひどい顔でした。

 この程度じゃ、絶対に、卓也君の彼女なんてつとまるはずがありません。

 彼女のポケットから携帯を奪って、『西原まゆ』の連絡先を探しました。携帯にロックをかけていないなんて、あまりに不用心で、私には信じられませんでした。


(つづく)


♯1 ♯2 ♯3 ♯4 ♯5 ♯6 ♯7


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(ここから作者コメント)

 こんばんは。ertです。
 晒そう企画『ストーカー』の二次創作です。



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